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【一聞百見】絶望の果て 大阪で立つ本名での夢舞台 OSK日本歌劇団トップスター・楊琳さん  

「琳」はおばあちゃんからもらった名前と話す楊琳さん(須谷友郁撮影)
「琳」はおばあちゃんからもらった名前と話す楊琳さん(須谷友郁撮影)
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 来年4月に創立100周年を迎えるOSK日本歌劇団。その新しいトップスターに就任した楊琳(ヤン・リン)さんのお披露目公演『レビュー夏のおどり』が6月12日から大阪・難波の大阪松竹座で始まる。「楊琳」は本名。華僑の家柄で横浜の中華街で生まれ育った少女は、華やかな舞台を目指した。だが、ここまでの道のりは絶望あり挫折あり。“夢”を諦めなかった彼女の「心」をちょっと聞かせてもらった。(聞き手・編集委員 田所龍一)

華やかな世界にあこがれて

 キレのあるダンス、端正な二枚目-と定評のある楊琳さんが、紋付きはかま姿でインタビュー室にやってきた。笑顔が少女のようにかわいいトップスターだ。

 当初は昨年の8月に就任する予定だったが、コロナの影響で約8カ月延びた。

 「劇団の看板になる。お客さまは私を通して劇団を見られる。私にそんな大役が務まるのか…と不安でした。でも延びたおかげでその不安としっかり向きあえる時間が持てました。もう大丈夫です」

お披露目公演『レビュー夏のおどり』のポスター
お披露目公演『レビュー夏のおどり』のポスター
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 「楊琳」は本名。キラキラネームが多い舞台名の中では異色の存在だ。

 「琳という名はおばあちゃんからもらったんです。祖母は尾形光琳が大好きで『芸術にたけた子に育ってほしい』と。琳は玉が触れ合って鳴る音を表していて、声の優れた華やかな人になるように-という意味も込められているんです。ねっ、ピッタリでしょ。わたし、この名前が大好きなんです」

 OSKに入団する際、研修生たちは自分で舞台名を付ける。楊さんの希望は本名。が、一応、舞台名を考えて提出した。すると劇団から「こんな名前にするより本名にしたら」と。「えっ、いいんですか! と、うれしくて叫んでいました」。“男役”楊琳の誕生である。

 少女琳は華やかな舞台を目指した。きっかけは中学生2年生のときにテレビで見たタカラヅカの舞台、月組真琴つばさ主演の『EL DORADO』(エル・ドラード)。少女は一目でとりこになった。

 「どうすれば私もこの世界に入ることができるのか、もう夢中でした。毎日、ビデオを見て…」

 まずは宝塚音楽学校入学を目指した。さっそくバレエと歌を習い、中学3年生で初めて宝塚を受験-一次で不合格。

 「他の子の“本気度”に圧倒されました。わたしのようにお稽古事のような軽い気持ちじゃダメなんだ-と、はっきりわかった」

 高校生になった琳さんは本格的に宝塚を目指した。そして東京・中野にある宝塚受験校「東京アートスクール」に入学。同校はタカラヅカOGの三井まこさんが校長を務め、これまでに春野寿美礼(すみれ、花組)、大和悠河(ゆうが、宙=そら=組)、凰稀(おうき)かなめ(宙組)ら多くのトップスターを輩出した名門校。

 「厳しくて、ついていけるか不安でした。でもそのうち踊って歌って表現することが楽しくなって…」

 みっちり3年間レッスンを重ねた琳さんは3年生の春、満を持して音楽学校を受験したのである。

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