藤子不二雄Aさんが語る手塚さんの思い出 7日から特別展「トキワ荘と手塚治虫展」
日本を代表する漫画家が数多く暮らしたアパート、トキワ荘を復元したトキワ荘マンガミュージアム(豊島区南長崎)で、7日から特別企画展「トキワ荘と手塚治虫-ジャングル大帝の頃-」が開催される。開催を前に6日、手塚さんから大きな影響を受け、手塚さんが退去した後のトキワ荘の部屋で暮らしていた漫画家、藤子不二雄Aさん(87)が会見し、手塚さんとの思い出を語った。
手塚さんがトキワ荘で暮らしたのは昭和28~29年の2年弱。特別展では、手塚さんがトキワ荘で描いた漫画「ジャングル大帝」や「鉄腕アトム」、「リボンの騎士」などの直筆原稿のほか、当時、手塚さんが使っていた机やペンの再現品などが展示されている。
藤子不二雄Aさんによると、「ジャングル大帝」の最終話もトキワ荘で描かれ、藤子不二雄Aさんもアシスタントとして参加した。
「(手塚)先生から『吹雪を描いてくれ』と言われ、手伝った。(作業中に)先生はチャイコフスキーの悲愴交響曲をかけていて、僕は描きながら涙が出てきた」。藤子不二雄Aさんは当時をこう振り返る。
手塚さんはトキワ荘を退去する際、藤子不二雄Aさんと、コンビの藤子・F・不二雄さんの2人に、自分が住んでいた部屋に入居するよう勧めたという。敷金が高額だったため、2人はいったん断ったが、手塚さんは「心配なら、置いておくよ」といい、敷金を払ってくれたという。藤子不二雄Aさんは「トキワ荘に入れたのも先生のおかげ。漫画だけでなく、私生活もお世話になった」と語った。
特別展は8月9日まで。企画、制作した手塚プロダクションの松谷孝征社長は「4月7日は鉄腕アトムの誕生日。手塚先生がいたら喜んでいると思う。当時の原稿を見て、先生をしのんでほしい」と話している。