PR

エンタメ エンタメ

緊急事態宣言から1年 「配信」定着したエンタメ界 歌舞伎や劇団四季も

ネットで配信された劇団四季の「The Bridge ~歌の架け橋~」=東京都千代田区(飯田英男撮影)
ネットで配信された劇団四季の「The Bridge ~歌の架け橋~」=東京都千代田区(飯田英男撮影)

 観客が現地まで行き、体感することが基本となるコンサートや舞台などのライブ・エンターテインメントは、新型コロナウイルスの感染拡大によって甚大な打撃を受けた業界だ。

 ぴあ総研の調査によると、昨年のライブ・エンターテインメントの市場規模(試算値)は1306億円。その前年の6295億円から約8割が消失した。

 「人気公演であるほど、多くの観客を集めることになるから開催が難しい。出演者が声を発しないわけにもいかず、多くの公演が中止や延期に追い込まれた」(都内の舞台制作会社)

 厳しい状況の中、新たなエンタメとして市民権を得たのが、公演をインターネットを通じてパソコンやスマートフォンで楽しめる「配信サービス」だ。

 1回目の緊急事態宣言解除直後の昨年5月15日、チケット販売大手の「イープラス」(東京都渋谷区)はコンサートや演劇などの公演を生配信する「Streaming+(ストリーミングプラス)」を立ち上げた。チケットの販売から公演の配信、グッズ販売までを一元的に行えるサービスで、観客の人数制限などで採算を取るのが難しくなった興行元の新たな収益につなげる狙いだった。

 サービス開始のきっかけは、緊急事態宣言直前の昨年4月1日に人気ピアニスト、反田恭平(そりた・きょうへい)さんがプロデュースした無観客のクラシックコンサートの有料配信だった。会場の収容人数の5倍以上のチケットを売り上げた。この反応に、同社は「新たな興行ビジネスの可能性を強く実感した」という。その後、例えばサザンオールスターズなど人気アーティストの配信ライブは、リアルの会場では不可能な数十万人規模の有料視聴者を全国から獲得している。

 コロナ禍以前にも、公演の生配信はあった。マンガやアニメを舞台化した若者に人気の「2・5次元」と呼ばれるジャンルでは、以前から映画館で千秋楽を生配信するなどの有料配信が行われてきた。コロナ禍はこの流れを大きく加速させた形だ。大容量データが高速で通信できる「5G」などの技術革新もこれを後押しした。

 緊急事態宣言の解除後、公演再開とともに、これまで配信をしていなかった歌舞伎や劇団四季なども初の配信に乗り出している。「演劇の周辺でマネタイズできる試みには、積極的にチャレンジしたい。新たな収益確保の手段として、可能性は大きく感じている」(劇団四季)という。

 観客の側にも利点はある。ぴあ総研の笹井裕子所長は「劇場の最前列で見られる機会はあまりないが、オンラインだと最前列の視点で見られると喜ぶ声は多い」話す。配信を見ながら視聴者がコメントできる「チャット」機能を使えば、遠方で見ながらも「つながっている」感覚が得られる。新たな楽しみ方として、コロナ禍はエンタメ界に「配信」を定着させた。

(道丸摩耶)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ