コロナ苦境 ディラン、クラプトンらが協力 ロック公演の老舗がネット通販
新型コロナで海外アーティストの来日公演のめどが立たない中、老舗の招聘(しょうへい)・コンサート主催会社が、インターネットの通販事業に乗り出した。これまでのノウハウを生かし、アーティストに関連したグッズを独自で製造販売する。業態転換をはかるわけではないが、コロナ禍の中で生き残りをかける武器の一つとしたい考えだ。(石井健)
老舗の苦境
通販サイト「UDO OFFICIAL SHOP」をインターネット上に開設したのは、ウドー音楽事務所(東京都港区)。昭和42年の設立。レッド・ツェッペリン、エリック・クラプトンさん、ローリング・ストーンズ、キッス、ブルース・スプリングスティーンさんら英米ロックの“レジェンド”を大勢、日本に招いてきた。「伝説」として語り継がれる公演を多数運営している。
昨年は米国からボブ・ディランさんを招いた。ノーベル平和賞を受賞した後、初の来日で、4月いっぱい日本に滞在して15公演を精力的にこなすはずだった。だが、コロナで中止になった。
業務推進グループの藁谷岳史(わらがい・たけし)さんによると、昨年は東京五輪が開催されるはずだったため、夏前後の来日公演は予定されていなかったのが不幸中の幸いだが、それでもディランさんを含めた5月まで、そして秋以降の来日公演は中止のままだ。
独自のノウハウ
コロナの中でのビジネスを模索していた昨夏、社内から飛び出したのが、招聘してきたアーティストに関連するグッズを製造、販売するアイデアだった。
Tシャツやタオルなど、公演会場での物販は今やおなじみだが、来日アーティストの場合、海外から持ち込んだ既存の商品分を売る例が多い。
だが、ウドーは日本の客層に合ったグッズを独自で製造。これを公演会場で販売している。社内に専門のマーチャンダイジング部もある。独自のノウハウを持っているのだ。