PR

エンタメ エンタメ

【一聞百見】コロナ禍でも「演劇は死なない」…劇団「南河内万歳一座」座長・内藤裕敬

「演劇の作り手として、自分が発想した作品を発表できる劇団を持っているのはとてもハッピーでありがたいこと」と話す内藤裕敬=大阪市浪速区(須谷友郁撮影)
「演劇の作り手として、自分が発想した作品を発表できる劇団を持っているのはとてもハッピーでありがたいこと」と話す内藤裕敬=大阪市浪速区(須谷友郁撮影)
その他の写真を見る(1/6枚)

 「関西演劇界の雄」として、1980年代から現在まで、長く関西の演劇シーンを牽引(けんいん)してきた劇団「南河内万歳一座」。座長にして、劇作家、演出家の内藤裕敬は、昨年、劇団旗揚げから40年を迎え、新型コロナウイルス禍のなか、今年1月にも大阪で新作公演を敢行、「まだまだやる」と意気軒高だ。かつて、本拠地とする大阪で、劇場が次々閉館していくなど厳しい状況にもさらされた。だが、「劇場がなくなろうが、疫病がはやろうが、どんなことが起ころうとも、演劇は死なない」。強い信念で、演劇道を疾走し続ける。

(聞き手・編集委員 亀岡典子)

劇団旗揚げ40年

 廃虚の地下に積まれた黒いポリ袋に入った大量のゴミ。いったい誰が捨てたのか。中身は何なのか-。

 1月、大阪市天王寺区の一心寺シアター倶楽(くら)で上演された劇団「南河内万歳一座」の新作「ゴミと罰」。内藤が書き下ろした芝居は、笑いのなかに、人間にとって捨てたくても捨てられない心の中の「ゴミ」の存在にスポットを当て、作品の内側から暗喩のように、放射性廃棄物の問題がジワリと浮かび上がる。成熟した劇作の力と、昔から変わらない力強い演出を感じさせる舞台となった。「放射性廃棄物の問題は、わかる人がわかってくれればいい。わからなくてもいいしね」

 演劇は自由だ。見る人の境遇や心持ちでどういうふうにも読み取れる。そんな作品を南河内万歳一座の座長として、劇作家、演出家として、40年間エネルギッシュに世に送り続け、演劇シーンの第一線で、見る人に刺激を与え続けてきた。「うーん、40年頑張ってきたという感慨はあまりないんですよね。ある時点から劇団は維持しないといけないものではなく、当然あるものだというふうに認識が変わったから」

1月に上演された劇団「南河内万歳一座」の新作「ゴミと罰」の一場面=大阪市天王寺区(撮影・谷古宇正彦)
1月に上演された劇団「南河内万歳一座」の新作「ゴミと罰」の一場面=大阪市天王寺区(撮影・谷古宇正彦)
その他の写真を見る(2/6枚)

 南河内万歳一座を結成したのは大学2年生のとき。同劇団は、劇団そとばこまちや劇団☆新感線など学生演劇出身の劇団とともに群雄割拠ともいうべき活躍ぶりで80年代、若者を中心に関西に小劇場演劇ブームを巻き起こした。やがて、多くの劇団が東京に拠点を移すなか、南河内万歳一座は大阪に居続けた。

 「単純に、僕自身が東京の演劇人に交じってしのぎを削りたいという欲望がなかったから。大阪で自分のペースで作品づくりをする方が魅力的だと思ったんですね。東京は商業的な基盤が集中しているけれども、演劇を作る上で東京にいなきゃいけないという必然性を感じたことがなかったんですよ」。そう言って、ふっと笑った。「それに、大阪って適当に放っておいてもらえるのがいいかな」

(次ページは)「言葉の向こう側」に衝撃…

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ