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【小菅優の音楽と、夢に向かって】国で違う、カッコウの鳴き声

 一昨年から、私が住むベルリンで行っている「Four Elementsシリーズ」の録音が、コロナ禍を乗り越え、やっと9月に終了しました。3回目となる今年のテーマは風。風や嵐、霧をはじめ、息、魂など、目に見えないものに焦点をあてたプログラムで、風の中、羽ばたく鳥を題材にした作品も入れました。

 初日、ピアノの調整やサウンドチェックなどが済み、まずフランスのバロック時代のクラヴサン(当時主流の鍵盤楽器)曲集から「かっこう」という曲で始めました。

 子供のころから弾いている曲なので安心していたのですが、最初からプロデューサーと議論に。向こうは音色の変化、楽譜の記載内容の反映ぶりなど、録音だからこそ事細かに気を配らねばならない事柄を的確に指摘します。

 そんな議論の最たる原因は、カッコウがどう鳴くかでした。日本語では「かっこう」、ドイツ語では「クックック」、フランス語では「ククー」と、鳴き声は国ごとに異なります。

 この作品は左手のフィギュア(形)が常に「かっこう!」と鳴いているわけですが、私は最初の小さい「っ」の表現のため、少し、しゃっくりのような間を取りたいと思ったのですが、向こうは最初の「クッ」より「クック」をもっと弱く弾くべきだと主張するのです。でもフランスの作品なので、やはり最後の「クー」は長いわけです。

 これを本当に鳴いているように音楽で表し、哀愁深くメランコリーを漂わせることも考えると、容易なことではありません。

 ところが、かっこうの鳴き声をネットで検索して確認すると、あまりアクセントもなく、気ままに鳴いているではないですか。「そんなに悩む必要ないよ!」と言っているようなその鳴き声を聞いて、悩んだ自分がなんだかおかしくなり、笑ってしまいました。(こすげ・ゆう=ピアニスト)

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