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「出る杭が打たれないためには突き抜けよ」 イチロー“先生”、生徒からの質問に直球勝負 SNSでも大きな反響

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 米大リーグで数々の記録を塗り替えたイチローさんが、子どもや大人からの質問に次々と答えるSMBC日興証券のウェブ動画「おしえて!イチロー先生」が公開から1カ月で再生回数2000万回を超えるなど大きな反響を呼んでいる。昨年公開の第1弾「人生100年イチロー人生すごろく」の中で「30代後半で転職」と書かれた目にコマが進んだ際、「転職するなら学校の先生」と語ったのがきっかけで今回の第2弾が誕生した。動画では、仕事との向き合い方など硬派な質疑だけでなく、子どもからの「お母さんにお年玉を取られないためにはどうしたらいいですか?」、高齢者からの「この歳で恋愛はできますか?」といった、普段のメディア取材ではあまり出ないような質問にも真摯(しんし)に答えており、すべての質問でどんな回答をするのか、興味が尽きない内容となっている。

“無難”に答えず、厳しいことも率直に

 今回公開された動画は27本。学校の教室でイチローさんが教壇に立ち、子どもの生徒からの質問に答える「こどもクラス」、生徒が大人の「おとなクラス」、そのほかに「給食」編がある。いずれも30秒から2分半程度で気軽に見られる。イチローさんの答えの内容だけでなく、どんな質問にも考え込むことなく即答する姿も、現役時代の打撃の切れ味と同様、魅力的だ。

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 「こどもクラス」で中学生の男の子から「将来、お寿司屋さんを開きたいけど、どう思いますか?」と質問を受けたイチロー先生。即座に「自分の好きなことを職業にすると、大変なことがほとんどで、心から楽しめなくなるという現象が起きる」と切り出し、「僕自身、もう一度プロとして野球選手をやるかと聞かれたら、やるとははっきりいえない」と率直に答える。

 子どもが相手だからといって“夢に向かって頑張って”といった無難な答えで済ますようなことはしない。覚悟が必要であることを真正面から説き、真剣勝負で“授業”に向き合う姿からは、最高峰のレベルで常に戦ってきたゆえの厳しさが伝わってくる。

 これに関連して、昨年3月の引退会見での発言がある。高校卒業後、プロ野球選手となって3年目に初めてレギュラーで使ってもらった思い出に触れ、「この年までですね、楽しかったのは。そこからは純粋に楽しいなんていうのは…」と述べている。その言葉からは、渡米後も含め引退までの長い間、より高いレベルを目指しての実践と反省の繰り返しが「職業としての野球」であり、楽しむものではなかった様子がうかがえる。

 「出る杭(くい)が打たれないためにはどうしたらいいですか」との中学生の女の子からの質問には、「それは簡単。もっと出たらいい、突き抜けたらいい」とし、「突き抜けたら“こいつはもう手に負えない”となるので」と言い切る。

 また、「おとなクラス」では、歯科助手をしながらモデルの仕事もやっているという女性から「自信をなくしたことはありますか?」と問われる。これに対しイチロー先生は「(野球に関しては)自信はあったのですが…」としたうえで、「野球って個人競技の要素も強いですけど、チーム競技の側面があるのでどうしてもそことの摩擦は生まれます」と本音を吐露。その摩擦などに悩み「2006年とか2007年というのは、そこが嫌になって日本に戻ってプレーすることを真剣に考えました」と、あまり知られていない“新事実”にも言及し、大変貴重なシーンとなっている。

第1回WBCの優勝から一夜明け記者会見するイチロー選手=2006年3月21日
第1回WBCの優勝から一夜明け記者会見するイチロー選手=2006年3月21日
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 大リーグで毎日のようにヒットを記録している姿が報じられていたころ、イチローさんに対しては称賛の一方、“出塁よりも安打を重視し、四球を狙わずにボール球でもどんどん打ちにいく”といった、チームよりも自身の記録を大事にしているのでは、ともとれる陰口もあったようだ。だが、ヒットを打つことは出塁することにほかならず、実際、2004年に、大リーグのシーズン最多安打を84年ぶりに更新(262安打)した際には、出塁数でもリーグ1位となり、チームプレーヤーとしての役割も十分すぎるほど果たしていた。それは、声高な言葉ではなく高い実績ですべてを示すという、まさに「出る杭」などというレベルを「突き抜けた」姿そのものだった。

 イチローさんが摩擦に悩み、日本に戻るかどうか真剣に考えていたという2006年は第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が行われ、日本が世界一になった年。そのWBCでは日本代表に選ばれ、すべての試合でヒットを記録しただけでなく、期間中にチームメートに決起集会を呼び掛け結束を強めるなど、見事な牽引(けんいん)役を務めた。決勝後には「野球人生で最高の日です」と語っている。

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 現役最後の試合となった2019年3月21日のマリナーズ―アスレチックス戦(東京ドーム)。8回の守備で交代を告げられてベンチに戻った際には、出迎えたマリナーズのチームメートやコーチらと順番にハグを交わした。チームの勝利と個人の結果との両立を追い求めた先に何が待っているかを示す象徴的な場面だった。スタンドを埋めた大観衆からも拍手が鳴りやまず、その光景などを目の当たりにして語った「後悔などあろうはずがありません」のひと言は、その年の新語・流行語大賞の選考委員特別賞に選ばれた。名言を多く残したイチローさんだが、今回の動画でも、「他人から嫌われるの大好き」「前向きだけでは生きていけない」など、新たな名言の数々に触れることができる。

「お年玉をお母さんに取られない方法は」…どう答える?

 ちなみに、冒頭で紹介したお年玉と、高齢者の恋愛に関する質問にどう答えたかについては、実際に動画を見てのお楽しみだ。このほか、お金についての質問(子どもからの「お金がすべて、ではないですか?」)などもあり、「すべてではないが、それなくしては生きていけない。どう使うかが大事で、これにその人(の本質)が最も出る」と答えている。

 SNS上では動画について「面白くて賢い人だと思った」「イチローさんの本質的な部分を知ることができた」「自分が(出る杭として)打たれているのはまだ突き抜けていないからだと悟り、もっと努力しなければと思った」「大きなことを成し遂げた人の言葉だけに重みが違うと思った」など、それぞれの人に強い印象を残したことがうかがえるコメントが並んだ。

イチロー杯争奪学童軟式野球大会の閉会式で子供たちに語りかける=2019年12月22日
イチロー杯争奪学童軟式野球大会の閉会式で子供たちに語りかける=2019年12月22日
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 今後の人生についてイチローさんは「監督は絶対無理ですよ」としながらも「小さな子どもなのか、中学生になのか、高校生になのか、大学生になるのかは分からないですけど、そこには興味がありますね」と引退会見で話し、人に「教える」立場になることに強い興味を示していた。そしてその年に、プロ野球経験者が高校、大学での指導者になるための研修を一般の参加者に交じって受講、アマチュア野球の指導者としての資格回復が日本学生野球連盟から既に認定されている。

 イチローさんは2001年からSMBC日興証券のブランドパートナーを務めている。同社は「動画では、小学生から70代まで幅広い年齢層の人に集まっていただいたことで、多彩な質問が出た。撮影で使った教室のセットについても、時間割や習字といった教室内の掲示物にまでこだわっており、細部も含め楽しんでもらえれば」と話す。第1弾の動画に続く今回第二弾の大きな反響に、さらなる続編を期待する声が上がっている。

「おしえて!イチロー先生」特設サイトはこちら

提供:SMBC日興証券株式会社

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