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「山中静夫氏の尊厳死」中村梅雀、津田寛治 死を通じて生を語る

 「山中静夫氏の尊厳死」(村橋明郎(あきお)監督)は、末期がんの患者の人生のエンディングを静かに描く。患者と医師を演じるのは、意外なことに本格的な共演はこれが初めての中村梅雀(64)と津田寛治(54)。ドラマで大活躍の2人だが、身近な生と死に思いをはせながら丁寧に演じた。(石井健)

 同名小説が原作。医師の今井俊行(津田)は、最期を故郷で過ごしたいという山中静夫(梅雀)の転院希望を受け入れる。余命3カ月の山中は、許可を取って外出し、汗まみれの姿で帰ってくる。

 平成30年10月に長野県佐久市で撮影した。梅雀は、その日の撮影が終わると小諸市の定宿に車を走らせ、温泉につかってひたすら死について考えたという。

 「人間の死ぬところをよく見ておけ」。祖父で歌舞伎俳優の三代目中村翫右衛門(かんえもん)は臨終の際に、父の四代目中村梅之助にそう命じた。その父が亡くなる際、呼吸がとても苦しそうだった。また、撮影当時、母の光子さんが危篤状態だったと明かす。

 「父の呼吸の仕方を芝居に取り入れながら、母のことを思い、役として自分が死ぬということについて考えた」

 さらに撮影が終わると、定宿の料理長の訃報が届いた。がんだった。毎日早朝に弁当を持たせ、がん患者を演じるため出かける梅雀を見送った。

 「作品って生き物というか、何かを引き寄せることがある」と梅雀の話に驚嘆する津田は、医師を演じるにあたり中学2年生の頃、胃がんで亡くなった父親の臨終を思ったと明かす。

 反抗期で衝突が絶えず、ノートに「死ね」と書きなぐるほどだったが、病室で「ご臨終です」という医師の事務的な口調にショックを受けた。廊下で泣いていると誰かが肩をたたいた。振り向くと、その医師が「ごめんな。医学の力が至らなくて。本当にごめんな」と号泣していた。

 「医師としての仕事と人間としての感情。その差っていうんですかね。今回医師を演じるに当たり、頭の片隅にありました」

 今井医師は、患者の死に向かい合うあまり、鬱病を発症するが、山中の「死に方」から、「生きる」ことの意味を知る。

 「あらゆるご夫婦、ご家族に見ていただきたい」と梅雀。津田は「死は生の延長線上にある。そのことをどう表現しているか。映像作家を目指す若い人にも見てもらいたいですね」と話した。

 14日から東京・シネスイッチ銀座などで全国順次公開。1時間46分。

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