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【オーケストラ 神話のゆくえ】第三楽章・凄腕の仕掛け人 驚愕「PAC」集客力、聴衆ありき周到な戦略

 定期演奏会が始まる直前、着飾った聴衆で華やぐホールのロビー入り口に、評論家や音楽ジャーナリストらと意見を交わす同センターのゼネラルマネージャー、林伸光さんの姿があった。関西で最後発のプロオーケストラを一躍人気楽団に押し上げた立役者の一人は、楽団員の人件費と限られた客席数からの収入などをあげて運営の難しさを指摘しながら、「音楽家はピュアなので、私たちスタッフがしっかりマーケティングをして、戦略を示さなければいけません」と話す。

 開館の2年前、世界で活躍する指揮者でPACの芸術監督を務める佐渡裕さんから請われ、ゼネラルマネージャーに就任した。当時、関西にはすでに大小9つのプロオーケストラがあり、音楽業界ではPACの誕生は「無謀な試み」とささやかれていた。

◆ファン開拓

 だが、林さんは意気軒昂だった。元朝日放送社員で、日本初のクラシック専用ホールとして知られる「ザ・シンフォニーホール」(大阪市)の事業に21年間も携わった敏腕プロデューサー。その頃、関西のオーケストラのチケット代は5千~6千円が相場だったが、林さんは「この値段では気楽に足を運べない」と感じていたという。価格を下げて客数を増やし、ファンも増やそうと、定期演奏会を4千円に設定した。

 また、阪急電鉄沿線という共通項のある宝塚歌劇の昼公演が満席になっていることを参考に、同センターでも昼公演の回数を増やし、主婦層やリタイア層を新たなファンに取り込もうとした。センターの開館当初は、オーケストラの演奏が終わっていないのに拍手が起きることもしばしばだったという。シンフォニーホールのコンサートで同様の現象が起きれば眉をしかめるクラシックファンもいるが、林さんは「クラシックを聴いたことのないお客さんが、まだこんなにいる。新しいお客さんになってくれる可能性がある」と喜んだ。

 オペラ公演の宣伝にも一工夫こらす。たとえば、年間スケジュールで発表した公演日数のチケットが完売する頃に、追加公演を告知する。実はもともと追加分のホールや出演者の予定は押さえているといい、「飢餓感をあおったところで千秋楽を伸ばす、いわゆる“劇団四季商法”です」と手の内を明かす。

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