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秋田の「わらび座」 年間25万人も集客する理由

世界のビール大会で金賞を何度も受賞した「田沢湖ビール」の工場(わらび座提供)
世界のビール大会で金賞を何度も受賞した「田沢湖ビール」の工場(わらび座提供)
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存続危機支えた政財界

 だが平成23年の東日本大震災で、劇団は存続の危機に陥る。毎年、芸術村には修学旅行の生徒が1万人以上来訪し、現地滞在して舞台や踊り、農作業などを体験する“顧客”でもあった。しかし東北の放射能汚染の風評を懸念し、キャンセルが相次いだ。

 再生のため、白羽の矢がたったのが山川さんだ。わらび座の俳優出身で平成18年、愛媛・坊ちゃん劇場支配人に転じ、わらび座と同様、郷土に根ざしたオリジナル作品を上演し、「奇跡の劇場」と呼ばれる集客を実現させた張本人だ。

 観劇機会が限られる愛媛で、山川さんは劇場を、子供が郷土の歴史を学び、情操を育む場にしようと地元政財界を説得し、後援会を設立。「作品に感動した企業人や団体、個人の方が子供の観劇を支援してくださった」。支配人としての8年間で、毎年約2万5000人の児童・生徒の招待を実現させた。

 山川さんの古巣復帰に、四国政財界が動いた。「例えば加戸守行前愛媛県知事は、『坊ちゃん劇場が四国の山を畑に耕してくれた』と、東北の要人を紹介してくださった」。苦しい中で29年、伊達政宗が慶長三陸地震(1611年)のわずか2年後、支倉常長で知られる慶長遣欧使節団を派遣した史実を、東日本大震災からの復興と重ねた念願の新作「ジパング青春記」を上演。東北政財界の支援で被災児童・生徒1万人の招待を実現し、作品も再演を重ねる財産演目になった。劇団は危機を乗り越えた。

コミュニケーション力を生かす新事業

 わらび座は現在、仙台に本店を置く七十七銀行で、社員教育を請け負う。5人の俳優が派遣され、130人の行員を2人1組にし、互いに相手の言葉を否定し続けた後、逆に肯定するゲームを行った。

 「いかに共感のリアクションが相手の心を開くか実感すると、“聞く力”が増す。それこそ演劇の持つコミュニケーション力」と山川社長。俳優の講師派遣は、医療機関や教育現場、高齢者施設などからも引き合いがあり、今後は演劇を通じた社会貢献に大きな可能性を感じているという。

 作品にこだわるため、舞台にだけこだわらない-。演劇を観光資源から、教育やリハビリにまで発展させる、この柔軟な発想と実行力が、わらび座の強みとみた。

 新作ミュージカル「あきたいぬになりたくて」は12月14日まで、あきた芸術村小劇場で上演中。「いつだって青空~ブルマー先生の夢~」は10月23~25日、1月1~3日、わらび劇場。0187・44・3939(予約センター)。

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