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「250冊まで描く」衰え知らず、ズッコケ三人組の那須正幹さん

児童文学作家の那須正幹さん(松本健吾撮影)
児童文学作家の那須正幹さん(松本健吾撮影)

 シリーズ累計約2500万部の「ズッコケ三人組」で知られる児童文学者の那須正幹(まさもと)さん(77)が今年度のJXTG(旧東燃ゼネラル)児童文化賞を受賞した。子供や若者の“本離れ”が進む中で、この実績は驚異的。出版不況の打開策を聞くと、「小学生の低・中学年を振り向かせよ!」。(文化部 喜多由浩)

40年も読者を魅了

 昭和53年以来、本編だけで50巻。さらに中年・熟年編まで40年近くも読者を魅了し続けた「ズッコケ三人組」シリーズ。人気の秘密はどこにあるのか。

 「まず、主人公の3人の個性的なキャラクターをくっきりと描けたことですかね。読者にはそれぞれ“ごひいき”がいて、今は癒やし系のモーちゃん人気が断トツです。それから、株式会社や時間漂流記など、児童文学の枠を超えたネタを扱ったのが、子供たちの知識欲を刺激したのかもしれません」

 意外なことに少年時代の那須さんは本嫌い。世界名作全集や偉人伝などには興味を持てなかった。

 「子供にとって活字を読むのは煩わしい行為なんですよ。でも、物語が面白ければ厭(いと)わずに読むんです」

“老人文学”

 子供の本離れが進む中でも、母親が読み聞かせる絵本は今もそこそこ売れている。だが、それが「次」につながらない。小学校の低・中学年がなかなか自分から本を手にとってくれないのだ。各出版社もその世代をターゲットにして、あの手この手で取り込みをはかろうとするが、簡単ではない。

 そこで、那須さんが最近、書き上げたのが、小学2年生の名探偵が活躍する「低学年でも読める推理小説」だ。「今は、情緒に訴える作品は多いけど、(子供の)知的好奇心を刺激するようなものが少ないでしょ。読者が物語のキャラクターに共感して、一緒に世界を駆けめぐる。そんなふうに興味を持ってくれれば」

 一方で昨年暮れ、対極ともいえる“老人文学”の小説(「ばけばけ」)を書いた。主人公の3人は70歳以上の独居老人。そこへ、少年時代に見た米セクシー女優、マリリン・モンローのエピソード(昭和29年に来日)も取り入れた。

被爆体験

 「僕自身77歳になったしねぇ。読者層は高齢化しているし、こんなジャンルの文学があってもいいかなって。まぁ、年寄りをバカにするな、という気持ちもありますけど(苦笑)」

 もうひとつ、ライフワークともいえるのが、反戦・反核への思いを文学で訴え続けることだ。広島で生まれ育ち、3歳で被爆した。小学校のクラスには、被爆したり、両親を亡くしたりした同級生も。中学のときに突然、白血病を発症し、亡くなった女子生徒もいた。

 「戦争はイヤだ、絶対にしちゃいけない、というDNAは、僕らの子供世代には何となく受け継がれている。そのDNAを再生産して、その次や次の次の世代にも、しっかりと伝えていかねばならない。そのきっかけを文学でつくるのが僕の使命ですね」

 数年前までは、「80歳になれば書くのをやめる」と思っていたが、今の気持ちは少し違う。

 「今まで書いた本が223冊。ぜひ250冊までは書きたいんです」

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