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太って訪れた転機 俳優・加治将樹 目指すは「ぽっちゃり界の代表」

ドラマに舞台に、活躍の場を広げる俳優の加治将樹さん
ドラマに舞台に、活躍の場を広げる俳優の加治将樹さん

 今年4~6月に放送されたTBS系ドラマ「わたし、定時で帰ります。」や平成30年のNHKドラマ「そろばん侍 風の市兵衛」などに出演し、注目される俳優、加治将樹さん(31)が、活躍の場を広げている。とりわけ印象に残るのはその風貌。加治さんは「太ってから転機を迎えた」と明かす。(文化部 兼松康)

20キロ増やした役柄

 「わたし、…」ではオーバーオール姿のウェブデザイナー、「そろばん…」では巨漢で屈強な武士、テレ朝系で30年に放送された「越路吹雪物語」では主人公の幼なじみの青年期をそれぞれ演じた。

 加治さんは18年のミュージカル「テニスの王子様」でデビュー。20年にはNHK大河ドラマ「篤姫(あつひめ)」にも出演し、順調に役者人生を歩んできたが、転機は27年に訪れた。

 「体重を20キロ増やしたんです」。体重100キロの実在モデルが登場する映画「サムライフ」での役に似せるためだった。

 その後、いったんは元の体重に戻したが、「太っていた方が役者として自分のやりたいことがしっくり来る」との思いから、再び増量。そこからさまざまな仕事の依頼が来るようになったという。

 もともと食べることが好きで、体重を増やすのにそれほど苦労しなかったが、逆に減量は「つらかった」という。「越路吹雪物語」でのことだ。主人公と再会したときはぽっちゃりとしていたが、その後、出征。戦時中の過酷さを出征前後での体形変化で表現するため、1カ月半で約20キロ落とした。「よくやったな、と言われたいがために、必死でした」と振り返る。

性格「封印」

 「人に喜んでもらい、面白がってもらいたい。役者としても、プライベートでもサービスが好きな人間です」と自身を分析する。

 ところが、今年7月に主演した舞台「芙蓉咲く路地のサーガ」では、演出の青木豪さんから「(サービス好きという)武器は一切捨ててくれ」といわれた。

 配役にあたり、「巨漢の役者は加治しか知らない」との理由で、青木さんは加治さんに声を掛けた。

 青木さんは加治さんの役者としてのスタイルなども熟知しているが、物語では、“路地”と呼ばれる紀州・熊野の被差別部落に住む主人公と彼を取り巻く人々が描かれる。その血筋などにまつわる主人公の孤独感は、他の役者や観客らとコミュニケーションを取りたがる普段の加治さんの演技と、対極にあるのだ。こう振り返る。

 「芝居をしている中で、(演技の)相手とのコミュニケーションを取らず、お客さんとのコミュニケーションも取らないという経験は初めてだった。でも(演技の幅を広げる上で)そういう役をやらせてもらったのは自分の中でものすごくプラスに働いた」

 8月20日からは、新たな舞台「絢爛(けんらん)とか爛漫(らんまん)とか」(東京都渋谷区の「DDD青山クロスシアター」、9月13日まで、問い合わせはワタナベエンターテインメント03・5410・1885)で、天才肌で奔放に生きる男、諸岡を演じる。処女作以降、2作目が書けずに悩む新人小説家・古賀(安西慎太郎)、批評家志望のモダンボーイ・泉(鈴木勝大)、自称「耽美(たんび)小説家」の加藤(川原一馬)との4人芝居だ。

天才役

 「何度も上演されている有名な話。演じる4人のバランスもいい」と話す加治さんは、「出演依頼の際は役を聞いていなかったが、自分では諸岡をやりたいと思っていたのでうれしい」と口にする。

 一方で、「諸岡が何も考えない天才肌というのは台本を読めば分かりやすいが、いざ演じてみると、こんな人いるのかな、と思うこともしばしば」とも漏らす。稽古が進むにつれて出来上がった役は、「僕のことを知っている人にはピッタリの役と思われるかもしれないが、意外とそうでもない」と打ち明ける。それは「諸岡は独特のテンポ感を持っている人物なので。近づけるのは難しいが、そこまで演じられると、諸岡も面白く見えてくるし、4人の関係も分かりやすくなる」と稽古に打ち込んだ。

 役と自身を近づけるにはどうすればいいのかを考えるのも道筋だが、「それすらも考えてはダメ、というのが諸岡だと考えた」。どのような諸岡が演じられるのか注目される。

将来の夢は「芸能人」

 小学校1年生で芸能人になりたいと憧れ、小学校の卒業アルバムにも、夢は「芸能人」と書いた。だがそれは「漫然とテレビに出られたらいい」という思いだったという。

 その後、ドラマを見ながら、「悩むとは」「生きるとは」などと思い悩む時期をへて、結局、今の仕事を選んだ。「僕自身、ドラマや芝居に救われた部分がある。僕が出ている作品を見て、『あいつが生きているんだったら僕も』と思ってもらえれば」と語る。

 役者人生の幅を広げた「体重増加」だが、悩みもある。「僕の体形だと、モデルがいないんです。雑誌を見て、こんな髪形や格好をしたいと思っても、太っていると(その髪形や服が)合わないこともある。『ぽっちゃり界の若手代表』になって、おしゃれもしたいんです」と笑う。

 「舞台にしろ、ドラマにしろ、毎週楽しみにしてもらい、明日の生きる活力にしてもらえれば」。そんな思いを抱きながら、今日も演技に精進する。

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