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【寅さん50年 男はつらいよを読む-吉村英夫】(12)「流れ流れの…」寅とリリー

第11作「寅次郎忘れな草」の制作発表に臨む渥美清(左)と浅丘ルリ子=昭和48年5月9日、東京・築地 
第11作「寅次郎忘れな草」の制作発表に臨む渥美清(左)と浅丘ルリ子=昭和48年5月9日、東京・築地 

 浅丘ルリ子が旅まわりの歌手リリーを演じる4作品(第11、15、25、48作)は、シリーズ中の高い達成である。リリーと寅次郎は、松尾芭蕉の『奥の細道』にある「日々旅にして旅を栖(すみか)とす」る者。市民社会からあぶれた者同士として共鳴感があり、その情味が画面からあふれる。

 夜汽車で寅はふと女に目をとめる。忍び泣きの様子だったので心に留めたのだ。リリー初登場の第11作『寅次郎忘れな草』。

 そのリリーと寅は北海道・網走で話を交わすことになる。女ひとりで地方を回る孤独な歌手であり、根なし草の寅と通じるところがある。

 寅「故郷(くに)はどこなんだい」。リリー「それがね、ないね、私(あたし)」。美空ひばりのメロディーに合わせて「流れ流れの渡り鳥」(「越後獅子の唄」)と歌う。

 これだけで2人は互いの人生の過去現在未来を見通せる。シリーズでの寅が口ずさむ「懐メロ」は、戦後を生き抜いてきた観客の胸にしみとおっていくものが多い。これも『男はつらいよ』の魅力の一つである。

 リリーが言う。「ねえ、私たちみたいな生活ってさ、普通の人とは違うのよね。それもいいほうに違うんじゃなくて、なんていうのかな、あってもなくてもどうでもいいみたいな、つまりさ、あぶくみたいなもんだね」。

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