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【寅さん50年 男はつらいよを読む-吉村英夫】(11)「人間は何のために生きてるのかな」

イラスト・阪本優子
イラスト・阪本優子

 第46作『寅次郎の縁談』(主なロケ地=香川県)の冒頭。寅次郎は田舎道で結婚式の一団と出会い花嫁に声をかける。「お嫁さん!きれいだよ」。花嫁の父に請われて祝辞を述べる。「まずはお二人が愛しあうということです。しかしそれだけではいけない。二人をここまで育てあげてくれたみなさんに感謝するという気持ち、それで初めて二人は幸せになれるのです」。平和な光景であり、殊勝で温和な言葉でもある。

 かたわらでテキヤ仲間のポンシュウ(関敬六)が「いいトシこいて嫁の来てもない奴」が何を言うのかと茶々を入れる。第1作で、お寺のお嬢さんに失恋し、上野駅で「その小さい眼から涙がポロポロと」こぼし、ラーメンを食べていた激情的な寅とは別人で、隔世の感がある。

 寅はいつか物分かりのよい中年の旅人になった。彼の言葉の数々は、同時に年齢を重ねたファンの座右の銘の位置を占めるに至ったともいえる。

 寅が甥っ子、満男(吉岡秀隆)の後見人の役割を果たすシリーズ終盤では、喜劇ではあるが、寅は人生の教師のようでさえある。

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