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【芸能考察】ちょいワルおやじ、ダサすぎ…真の艶気AOR大御所ボズ・スキャッグスの都会的で洗練ステージ

5月7日に東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで行われたボズ・スキャッグスの約4年ぶりの来日公演(撮影・土居政則)
5月7日に東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで行われたボズ・スキャッグスの約4年ぶりの来日公演(撮影・土居政則)

 かつて“ちょいワルおやじ”という言葉がもてはやされた。不良っぽさを強調したファッションを標榜(ひょうぼう)する中年男性を指す言葉だが、いい年をして、若い女性にちやほやされたいがために、高級ブランドのファッションや小物でバッチリ決めて“ちょいワル”をめざすことがいかに恥ずかしく、馬鹿げているかということを最近、痛感した。

 この5月、約4年ぶりに来日ツアーをおこなった米国のベテラン・ミュージシャン、ボズ・スキャッグスのステージを11日のオリックス劇場(大阪市)で見て、男の艶気(つやけ)とは自分の道を真っ当に、そして健全に歩みむことで内面から自然に沸き上がるということがよく分かったのだ。

 ボズといえば、団塊ジュニアより上の世代だと、1970年代の半ばから80年代の半ばにかけて、極めて都会的で洗練された大人向けのロックのジャンル「AOR」(日本ではアダルト・オリエンテッド・ロックの略)を世界的に広めた中心的存在で知られる。

 こう書くと、おしゃれなロックをワルぶってチャラチャラ歌って女にちやほやされた、それこそ“ちょいワルおやじ”の典型やろ、と思われるかもしれない。しかしそれは全くの逆であり、大いなる誤解なのだ。

 同じAOR系の米ジャズ・ロック・ユニットで、ボズと同時期に活躍したスティーリー・ダン。このユニットの中心人物で、同ユニットではボーカルとキーボード、そして作詞作曲全般を手がけるドナルド・フェイゲンというミュージシャンがいる。

 彼が2000年、自分たちの代表曲がどのようにできたかを自ら解説する教則ビデオ「ドナルド・フェイゲン コンセプツ・フォー・ジャズ/ロック・ピアノ」を発売したのだが、当時、これを買って大いに驚いた記憶がある。

 なぜなら彼は、このビデオで、ジャズの影響を色濃くうけたおしゃれの極みとも言うべきスティーリー・ダンや自身のソロ曲の元ネタが、その真逆といえるコテコテで泥臭いブルースの音階にあると明言。

 実際にピアノを弾きながら、12小節のブルースの音階のベースラインとコード(和音)進行に絶妙な変更を加え、都会的に洗練されたメロディに生まれ変わらせる魔法のようなテクニックを披露していたのだった…。

 そして、実はボズも同じなのだ。もともとは泥臭いR&B(リズム・アンド・ブルース)を標榜。当時、ブルース色の濃いサウンドを標榜した米のスティーブ・ミラー・バンドが68年に発売した初期のアルバム2作にギターとボーカルで参加。

 その後、69年からソロ活動を本格化させ、74年発表の6作目のアルバム「スロー・ダンサー」あたりから、スティーリー・ダンと同様、ブルースや、それを発展させたジャズの影響下にある都会的で洗練されたAORサウンドでスターとなった。

 そんな彼の今回のステージだが、いきなり代表作となるアルバム「ミドル・マン」(80年)収録の「ジョジョ」でスタート。キレのよいギター・カッティングのイントロが流れると、客席は総立ちに。

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