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【鑑賞眼】歌舞伎座「三月大歌舞伎」 黙阿弥の「七五調」美しく

 夜の部に「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」が出ている。江戸の町を騒がせた5人組の盗賊団の話で、作者の河竹黙阿弥による七五調のせりふの美しさ、小気味よさが歌舞伎を離れても流用されている。

 代表例が5人組の一人で女装の盗賊、弁天小僧菊之助が放つ「知らざぁ言って聞かせやしょう」。その名せりふを語る「浜松屋見世先(みせさき)」と、5人組が一同に名乗り合う「稲瀬川勢揃(せいぞろ)い」の場が痛快だ。

 「浜松屋」の場は、俳優陣の役替わりがみどころ。呉服屋浜松屋で、百両を強請(ゆす)ろうとたくらむ武家の娘に化けた菊之助(奇数日=松本幸四郎、偶数日=市川猿之助(えんのすけ))、その相棒で同伴する盗賊の一人、南郷力丸(奇数日=市川猿弥(えんや)、偶数日=幸四郎)、さらに2人の騙(かた)りを収めようとする鳶頭(とびがしら)(奇数日=猿之助、偶数日=猿弥)と、それぞれが競い合う展開だ。

 万引犯呼ばわりされ、額を傷つけられた、たおやかな武家娘が一転、ヤンキーまがいのべらんめえ少年になるところ、猿之助が3度目の経験をいかした粋な不良少年然ではつらつ。幸四郎は生来の気品と優しさが、男の正体を現してからも匂ってしまうが、せりふの変化で勝負。彼らの騙りを見破る玉島逸当こと日本駄右衛門の松本白鸚(はくおう)が貫禄の芝居。猿弥は旺盛な力感で南郷が似合う。

 ほか、昼の「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」と夜の「盛綱陣屋」が大歌舞伎。27日まで、東京都中央区の歌舞伎座。(劇評家 石井啓夫)

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