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東日本大震災8年 力強い音楽、東北から世界へ

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(上)昨年3月に行われた「東北ユースオーケストラ」の宮城公演。子供たちの演奏に合わせ、音楽監督の坂本龍一さん(前列右)がピアノを弾き、女優の吉永小百合さん(同左)が詩を朗読した
(上)昨年3月に行われた「東北ユースオーケストラ」の宮城公演。子供たちの演奏に合わせ、音楽監督の坂本龍一さん(前列右)がピアノを弾き、女優の吉永小百合さん(同左)が詩を朗読した

 ■被災3県の子供ら中心、東北ユースオーケストラ

 東日本大震災から8年が過ぎた東北で、困難を乗り越えた力強い演奏で東北全体に活力を与えている楽団がある。震災で被害を受けた岩手、宮城、福島の3県出身の子供たちを中心に編成された「東北ユースオーケストラ」だ。これまでにコンクールの入賞者や音楽教師も輩出。世界的な作曲家の坂本龍一さん(67)らの支援を得て、東北だけでなく、日本の音楽文化の一翼を担う存在になりつつある。(竹中文)

 ◆「一つの到達点」

 「被災地を励ますのが僕らの目的の一つ。今年3月の岩手での初公演が実現すれば、団員の出身県3県を巡回したことになる。一つの到達点なんです」

 こう語るのは、東北ユースオーケストラの田中宏和事務局長だ。楽団は30日に盛岡市の盛岡市民文化ホール大ホールで演奏。31日には東京都新宿区の東京オペラシティコンサートホールでも演奏する。

 ◆毎年3月に公演

 同楽団は音楽監督も務める坂本さんの発案で結成された。平成25年、坂本さんは東北地方の子供たちと宮城県松島町の音楽祭で共演。これを機に「震災を乗り越えて生まれる強い音楽を東北から世界へ届けよう」と呼びかけ、27年から団員の公募が始まった。

(右)音楽監督の坂本龍一さん(中央)とともに福島市のホールで合同練習に励む東北ユースオーケストラの子供たち =昨年12月
(右)音楽監督の坂本龍一さん(中央)とともに福島市のホールで合同練習に励む東北ユースオーケストラの子供たち =昨年12月

 団員は震災で被災した岩手、宮城、福島の3県出身の小、中、高、大学生ら約100人。28年から毎年3月に公演を実施している。

 今年の演奏曲目は、楽団の依頼で作曲家の仁科彩(にしな・あや)さんが作った「くぐいの空」や「交響曲第2番」(ブラームス)など。坂本さんは「『北的なるもの』を深めるために、仙台市出身の仁科さんにオリジナル曲を委嘱しました」とコメント。ドイツ北部、ハンブルク出身のブラームスの作品も「北のにおいのする曲が多い。『交響曲第2番』は例外的に暖かい、田園的なものですが、子供たちの音楽性を豊かにしようと、あえて取り上げることにした」(坂本さん)という。

 東京公演には女優の吉永小百合さん(73)、岩手公演には女優、のんさん(25)が朗読で参加。この公演のために楽団は、作曲家の藤倉大さん(41)ら音楽家を講師に招いて合同練習を行った。年に数回は坂本さんも練習に参加。子供たちの感性を研ぎ澄ますため、繰り返し「耳をひらいて」と助言していたという。一方で有志たちも自主的に演奏活動を展開し、東京など各地のイベントに出演。今では東北の代表的な存在になった。有志での演奏活動を坂本さんから高く評価された団員の一人は感激で「涙が出た」という。

 ◆音楽家育てたい

 桐朋学園全国ジュニア音楽コンクールで1位に輝いたり、音大への進学を決めたりと楽団員の活躍も顕著だ。坂本さんが追究する「東北ならではの創造性」を「深めたい」と、東北と子供と音楽をテーマに卒業論文に取り組んだ楽団員もいる。

 田中事務局長は「東北から世界に羽ばたく音楽家をもっと育てたい。来年は今までにないチャレンジができれば」と語った。岩手公演の問い合わせはキョードー東北、022・217・7788。東京公演はディスクガレージ、050・5533・0888。

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