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【鑑賞眼】トム・プロジェクト「芸人と兵隊」 「死と笑い」の背反性

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芸人達が慰問団「わらわし隊」として戦地に派遣され…(塩谷安弘撮影)
芸人達が慰問団「わらわし隊」として戦地に派遣され…(塩谷安弘撮影)

 古川健・作、日澤雄介・演出、トム・プロジェクトのプロデュースによる戦時中の皇軍慰問を描くシリーズの第2弾。今回は演芸慰問団を扱い、戦争とお笑いというテーマに切り込む。

 昭和16年。銀作(村井国夫)と良子(柴田理恵)の夫婦漫才コンビは、落語家の亀鶴(高橋洋介)、若手の漫才コンビ、三味線漫談の女芸人とともに中国大陸へ渡る。4組は行く先々で喝采を浴びるが、どうすればもっと兵士らに喜んでもらえるか、芸をめぐる悩みも抱える。やがて、かつて慰問中に命を落とした落語家への鎮魂を経て、慰問団にも死が忍び寄ってくる。

 昨年の第1弾「シングァソング」では、慰問する歌手(戸田恵子)が、特攻を命じる軍部に対して激しい怒りをぶつけ、声の迫力が戦争批判へと直接に結びついていた。だが、今作はお笑いを描いただけに、もっと緩やかで、しかし深刻な皮肉をにじませる。「死と笑い」という背反的な要素を隣り合わせに置くことで、人間の業をあぶりだそうとする試みだ。極限状況で役を演じる厳しさは、演劇にも通じるだろう。

 村井が飄々(ひょうひょう)とした芸人を達者に演ずる一方で、切ない思いをぶちまける場面ではすごみを発揮し、舞台を引っ張った。相方の柴田も天性のはまり役。他の役者も健闘してはいるものの、芸人らしさが足りず、シリアスな状況との落差がいま一つ出せていない。

 24日まで東京都豊島区の東京芸術劇場シアターウエスト。(演劇評論家 小山内伸)

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