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藤田俊太郎演出「バイオレット」相次ぎ劇評 ロンドンで小劇場が存在感

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ロンドンで上演中のミュージカル「バイオレット」。バスで米南部を旅する人々が描かれる(Scott Rylander撮影)
ロンドンで上演中のミュージカル「バイオレット」。バスで米南部を旅する人々が描かれる(Scott Rylander撮影)

 ■日本人演出家の「挑戦」も可能に

 演劇の本場ロンドンの小劇場で、藤田俊太郎が演出する英国初演のミュージカル「バイオレット」が1月21日、開幕した。藤田は現地では無名だが、確認できただけでも現地25メディアが劇評を掲載。「ロンドンでは小劇場が存在感を増している」(英演出家のトム・サザーランド)というトレンドも、注目につながったようだ。(飯塚友子)

                   

 1960年代の米公民権運動を背景に、顔に傷を負ったヒロインの成長過程を追う「バイオレット」の評価は、新旧メディアで分かれた。英紙「タイムズ」は「譜面は魅力的だが、ストーリーは陳腐といえるほど薄い」と厳しい見方を示し、英紙「ガーディアン」と共に、この2紙だけ評価は★★(満点は★5つ)。一方、ウェブなど新興メディアでは★4つが最多で★5つも。「人間の深部を描き、シリアスでわくわくする夜」(演劇サイト「ロンドンシアター」)と好評だった。

 作品が上演されたチャリングクロス劇場は、サザーランドが3年前、芸術監督に就任。以来、実験的試みを継続し、日本でも上演されたミュージカル「タイタニック」などが評判になり、「芝居好きの観客がついている劇場」(ロンドン在住のジャーナリスト、秋島百合子さん)と存在感を増している。

 今公演は大阪・梅田芸術劇場との共同制作で実現。亡き蜷川幸雄の演出助手を平成28年まで10年以上務め、ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」日本公演を成功させた藤田が抜擢された。日本でも演出経験のあるサザーランドは、藤田を高く評価。今回、演出を藤田に任せ、さらに藤田の要望で、劇場に回り舞台を新設する大改造も行った。小劇場ゆえ可能な実験で、サザーランドは「ロンドンの演劇は変貌している。ウエストエンドの大劇場は観光客中心。今は小劇場に秀作がかかり、地元ロンドン子が集まる。私は固定観念を打ち破ることを目指してきた」と満足そうだ。

 今回、藤田は何もない舞台に、椅子を配置するシンプルな空間で「バスの旅」を表現。観客も同乗している気分にさせ、回り舞台を動かすことで、角度によって見え方が変わる舞台と、人種や宗教など立場で変化する価値観を重ねる演出をした。現地で観劇した演劇評論家、萩尾瞳さんは「展開に難のある脚本を、藤田さんは観客を巻き込む演出でスムーズに見せ、ヒロインに寄り添える舞台だった」と評価した。

 英国で3カ月にわたるロングラン公演を任された藤田には、大きな刺激になったようだ。「プレビュー公演中、ラストシーンを変えた。それを俳優やスタッフも当然のように受け入れる。芝居作りに何が必要か、考えさせられた」。実験が許される創作環境に加え、メディアの演劇に対する注目の高さが、演劇の国の舞台を支えている。

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