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【鑑賞眼】歌舞伎座「十二月大歌舞伎」 阿古屋、ベテランと新進「競演」

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 今年は歌舞伎座開場130年。記念興行の掉尾(とうび)を飾るにふさわしい演目が出た。坂東玉三郎が力を注ぎ引き継いできた女形の大役を自ら演じ、伝えている。

 夜の「壇浦兜(だんのうらかぶと)軍記 阿古屋(あこや)」だ。平家の残党、悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)の行方を調べる堀川御所。源頼朝の命を受けた秩父重忠と岩永左衛門(さえもん)の前で、景清の愛人だった遊女、阿古屋が裁かれる。景清の行方は知らぬ、と応える阿古屋に重忠は動揺を見抜こうと琴、三味線、胡弓を演奏させる。その音色に乱れはなく、より強い拷問を主張する岩永案を退けて阿古屋を解放する。

 景清への熱い思いを胸中に秘めるものの、純白の意思で三曲を奏でる哀愁と技量で、阿古屋は屈指の難役。平成では玉三郎だけが演じてきた。今回、Aプロで玉三郎が手本を、Bプロで中村梅枝(ばいし)、中村児太郎(こたろう)が玉三郎指導のもと初役で挑んだ。2人とも三曲を達者に奏でて立派。玉三郎は豪華な衣装と思慕の念が、奏でる手先、所作の万端ににじんだ。熟成と新進、見事な競演だ。

 出色は、Bプロで岩永を演じる玉三郎。この役の特色である人形振り(人形のような動き)も大仰を避け、愛嬌(あいきょう)あるすっきりした敵役(かたきやく)。Aプロで岩永を演じた尾上松緑(おのえ・しょうろく)の伝統型に比して、新鮮だった。

 昼の「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり) お染の七役」は、中村壱太郎(かずたろう)が初役で7役。早替(はやが)わりも含め健闘した。26日まで、東京都中央区の歌舞伎座。(劇評家 石井啓夫)

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