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【鑑賞眼】首相が窮地…政治の現実を爽快に諷刺 二兎社「ザ・空気ver.2 誰も書いてはならぬ」

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【鑑賞眼】
首相が窮地…政治の現実を爽快に諷刺 二兎社「ザ・空気ver.2 誰も書いてはならぬ」

屋上でカメラを構えていたネットテレビ局の井原(左、安田成美)と、保守系全国紙の論説委員の飯塚(右、松尾貴史)=本間伸彦撮影 屋上でカメラを構えていたネットテレビ局の井原(左、安田成美)と、保守系全国紙の論説委員の飯塚(右、松尾貴史)=本間伸彦撮影

 ある文書が出てきたために、首相が窮地に立たされて…。永井愛作・演出の新作は、実名は一切出てこないものの、現実の政治を題材とした諷刺(ふうし)コメディーだ。昨年、好評を博した「ザ・空気」の姉妹編。

 首相会見を控えた国会記者会館の屋上が舞台。

 記者クラブの共用コピー機から、会見での追及のかわし方を記したQ&Aが出てきた。書いた記者は誰か? 見つけた保守系全国紙の若手記者・小林(柳下大)は義憤から、ライバルに当たるリベラル系全国紙の及川(真島秀和)に相談。及川は、首相に最も近い記者と呼ばれた公共放送の解説委員(馬渕英里何)を問いただすが、彼女は関与を否定。やがて、小林の上司である論説委員の飯塚(松尾貴史)も来て、騒動が広がる。

 この一部始終に立ち会うのが、記者クラブに加入できず、こっそりと屋上でカメラを構えるネットテレビ局の井原(安田成美)だ。彼女は、証拠となる会話をしっかりと録音するが…。

 政治と報道の舞台裏を爽快に諷刺する。物まねが得意な松尾を論説委員の役に当てたのも、舞台を見て実に納得。爆笑ものだった。

 政権とメディアの癒着を問題としているが、この舞台が核心を突いているのはそこではない。次々と証拠が出てきても、どうとでも言い逃れでき、真実に迫れないもどかしさにこそ、恐ろしいまでの現実感がある。

 16日まで、東京都豊島区の東京芸術劇場シアターイースト。各地を巡演。(演劇評論家 小山内伸)

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