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【鑑賞眼】青年団「日本文学盛衰史」 漱石がラインでスタンプ…換骨奪胎に成功した平田オリザ

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 無料通信アプリLINE(ライン)で猫のスタンプを送る夏目漱石に、女性の座った座布団に顔を埋める“AV監督”田山花袋…。青年団の2年ぶりの新作は、高橋源一郎の同名小説の舞台化だ。明治の文豪を現代風俗の中で、生身の人間として描く過激な設定は原作と同じ。平田オリザ台本が換骨奪胎に成功したのは、4人の文人の「通夜か葬儀後の宴席」と場面を絞って群像劇とし、原作を知らない観客も魅了した点にある。

 全体は4場構成。それぞれ北村透谷(明治27年)、正岡子規(35年)、二葉亭四迷(42年)、漱石(大正5年)との惜別の日に時空が飛び、遺族や若き文学者が参列する形で展開する。故人の思い出から話題は当時の社会情勢に及び、さらに文学や人間の内面表現について語る言葉から、日本文学近代化の過程が浮き彫りになっていく。

 平田の、演劇ならではの演出が楽しい。漱石や芥川龍之介ら文豪を女優が演じることで、偉人はカワイイ存在に。そして幸徳秋水は「桂(太郎)やめろ!」などと、安倍政権批判を繰り広げた学生団体のようなシュプレヒコールを上げ、時事ネタも満載だ。

 笑わせながら近代日本文学を俯瞰(ふかん)できるが幕切れ、原作にはない“文学の未来”を盛り込んだのが刺激的だ。明治の文学者の生々しい苦闘の先に示される、機械が書くであろう“最強の小説”の顛末(てんまつ)。それは改めて「文学とは何か?」という問いを観客に突きつける。7月9日まで、東京都武蔵野市の吉祥寺シアター。(飯塚友子)

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