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【岩田由記夫の音楽の明日】アナログLPを自社一貫生産 日本人に合った音に

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【岩田由記夫の音楽の明日】
アナログLPを自社一貫生産 日本人に合った音に

 今年3月、ソニー・ミュージックレーベルズが洋楽、邦楽各1タイトル、自社一貫生産のレコード(アナログLP)を発売した。洋楽がビリー・ジョエルの「ニューヨーク52番街」。邦楽は故大滝詠一が残した名曲「夢で逢(あ)えたら」を5バージョン収録した「大瀧詠一作品集Vol.3 夢で逢えたら」だ。

 自社一貫生産とは、音質決定、盤をプレスするスタンパーの製造、そしてプレスという工程の全てを同一グループ内で行うこと。今回の場合、日本の技術者が全ての工程に関わるため、日本人に合った音づくりができるという利点がある。

 1982年10月1日、世界で初めて商業CDが発売された時の第1号アーティストが、ビリー・ジョエルと大滝詠一だった。それを記念して、ビリー・ジョエルは同一作品、「ア・ロング・バケイション」だった大滝詠一は別タイトルになったが、ソニーのアナログレコード自社生産復活第1弾タイトルに選ばれた。

 背景には、アメリカでのレコード販売の好調がある。2017年のアナログLPの売り上げは、CDなどフィジカルアルバム全体の14%にもなったという。音楽DVDやCDなどのデジタルメディア、特にCDが売り上げ減少傾向にある中、レコード販売だけがここ数年、伸び続けている。

 アーティストによってはCDを販売せず、ダウンロードとレコードでのみ発売することも増えてきた。まだまだCD販売の強い日本の音楽シーンだが、ここ数年、レコードは順調に売り上げを伸ばしている。ハード面でもレコードプレーヤーの需要は拡大している。

 デジタル化された音源をいわばコピー製造するCDに対し、レコードには音決めといわれるカッティング作業で音質が変わる人間臭い一面がある。同じレコードでもアメリカと日本では音質が異なることもある。今回発売された2作は、日本ならではの良音だ。(音楽評論家・岩田由記夫)=毎月第3金曜に掲載します

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