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【平成30年史 デジタルが変えた文化(7)】地デジ化 視聴は分散化、感情は共有

テレビの地上デジタル放送への完全移行が迫り、にぎわう家電量販店=2011年7月、大阪市浪速区のヤマダ電機LABI1なんば店(沢野貴信撮影)
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 「こんなのピカチュウじゃない!」「ポケモンの顔が変で子供が怒って泣いている」…。視聴者から次々と苦情が舞い込んだ。原因は、画角の変化。ブラウン管の時代からずっとテレビ画面の比率は4対3が標準だった。それがハイビジョンの地上波デジタル放送への移行時に16対9へ切り替わったのだ。

 テレビ東京アニメ制作部副参事の松山進によると、同局を代表するアニメ「ポケットモンスター」の地デジ移行は平成21年4月だが、一般家庭でテレビの普及が加速し始めた頃はまだ、4対3での制作を続けていた。

 画角だけでなく、走査線の数が多くなったことで、アナログ時代のままの絵で放送すると、鮮やかな黄色のピカチュウがくすんだ色になり、線がギザギザになる問題なども発生。対応ソフトの導入や技術革新を進めた上で、ハイビジョンに切り替えたという。

 ソウル五輪でNHKが高精細度のハイビジョン中継を行ったのが昭和63年。各テレビ局が地デジに完全移行したのは平成23年のことだ。その過渡期には、アニメ以外の制作現場でも一騒動があった。「当初のハイビジョンは照明の照度が高くないとダメだったし、機材そのものが大きくて中継車がないとロケは無理。すごく不便で本当に実用化されるのかとも思った」

 テレ東制作局次長の深谷守はそう証言する。だが「今は家庭用の小型カメラでも十分な画質の映像が撮れる。ロケでも複数のカメラを持って歩き回れる」。技術の進化が不安を瞬く間に一掃した。「編集も楽になって、とりあえず長めに撮って、後で調整できる。いわゆる『街ぶら番組』がはやった背景には、そういう側面もある」

                ■ ■ ■

 「この青はすごい」。フジテレビの第二制作室長、坪田譲治はデジタルハイビジョンで撮影したイタリアの観光名所「ナポリの青の洞窟」の映像を見て、発色の素晴らしさに衝撃を覚えた。プロデューサーを務めた「世界の絶景100選」(16年放送)でのこと。「背景の書き割りが絵とバレる」とか「シワが心配な高齢女優が出演しなくなる」とか、地デジ化には都市伝説のような笑い話も残るが、その映像美はアナログ時代をはるかにしのぐ。

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