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【鑑賞眼】歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」 弁天小僧、感慨無量のひと幕

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 今年の「團菊祭」は、「十二世市川團十郎五年祭」と銘打たれた。当代尾上(おのえ)菊五郎と共演の「團菊祭」は幾度見てきたことか。所縁(ゆかり)の作品で舞台をしのぶが、十二代目はもういない。加えて強力なメンバーだった十代目坂東三津五郎も鬼籍に入ってしまった。

 夜の「弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)」が感慨無量のひと幕だった。大泥棒5人組の物語で、河竹黙阿弥作の娯楽性あふれる悪の魅力が、舞台いっぱいに大見得きって表現される。振袖(ふりそで)姿の武家娘に扮(ふん)し呉服屋をだましてゆすりを企てる「浜松屋」の場。実は男の弁天小僧菊之助は、菊五郎が半世紀を超えて演じ続ける当たり役。騙(かた)りがばれて居直る「知らざぁ言って…」の名ぜりふ、名場面も格調ある正攻法の芝居でうっとりさせる。弁天小僧に付き添う南郷力丸が市川左團次。強面(こわもて)ながら愛嬌(あいきょう)たっぷりの名コンビだ。後から来て、その場を納める日本駄右衛門は、初役で市川海老蔵が勤(つと)めた。父の十二代目が得意とした役で、ふわっと場を包み込む父の雰囲気と違い、盗賊5人組の首領としての複雑な感情を力強く演じて風格をみせる。忠信利平に尾上松緑(しょうろく)、赤星十三郎に尾上菊之助。5人、「稲瀬川勢揃」では、新旧溶け合う配役の妙。

 昼に、海老蔵が濃淡5役を演じて客席の大喝采を浴びる「雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)」と「女伊達」。夜はほかに「鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)」と「喜撰(きせん)」。26日まで、東京都中央区の歌舞伎座。(劇評家 石井啓夫)

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