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【追悼】高畑勲さん 日本アニメの方向性大きく変えた功労者 明治大大学院特任教授・氷川竜介

高畑勲監督
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 「日常生活の中にこそ喜びや驚き、奇跡がある」。高畑勲監督の全作品には、この哲学が貫かれていた。

 昭和43年、「太陽の王子 ホルスの大冒険」で劇場用長編アニメの初監督を務めた当時、アニメは「誇張」や「省略」の手法を用いて描くことが主流。その中で、高畑監督は徹底した生活描写や舞台設定を行い、作品に「リアリズム」を持ち込んだ。「アルプスの少女ハイジ」では舞台のスイスを訪ね、現地の暮らしを体験。ハイジがチーズを食べる場面は本当に「おいしそう」と思えるなど、ワクワクする映像を作り上げた。

 さらに、山小屋の食卓からヤギのいる小屋までハイジは何歩で歩けるか…など緻密な設定を練り上げ、アニメに実写作品のような「俯瞰(ふかん)的な視点」を導入したのも高畑監督だ。盟友の宮崎駿監督とともに、他の作品や後進の監督に大きな影響を及ぼし、現代アニメの基礎を築いた方といえる。

 51年の「母をたずねて三千里」では、家族の絆という人間に大切な本質を、繊細かつパワフルに描写。「火垂るの墓」などの心に残る作品を発表し続けた。一方で、「平成狸合戦ぽんぽこ」では現代社会への批評を折り込み、遺作となった「かぐや姫の物語」では筆で描いたような独特の画法を用いるなど、最後まで挑戦を貫いた。

 自ら絵コンテも描いた宮崎監督と異なり、高畑監督はオーケストラで例えるなら指揮者。スタッフの持ち味を上手く引き出し、指揮者に徹することで自分だけの作品を作り上げた。子供から大人まで共感できる、地に足のついた作品を作り続けた高畑監督は、アニメの文学性を高めることにも貢献した。日本アニメの方向性を、大きく変えた功労者だと思う。(談)

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