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Dance New Air 2018 「縁」と「鎖」他人結ぶ共感の絆

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 □New Air 2018「enchaine」

 独創的なダンス公演だ。会場は近代建築で名高い東京・国際文化会館で、受付で観客は赤い輪ゴムの腕輪を受け取り、館内のインスタレーションを見た後、小部屋に招かれる。

 ひっそり暗く、同じ赤い糸が複雑に交差した空間、床には白い薄布が覆う3つの身体。徐々に布から現れ出るが、外見の差異は、全身を包む繊細なレースのボディータイツが消している。静かな音楽、困難な時代を生き抜いた家族の歴史を語る男の素朴な声が流れ、緩やかにダンサーは動きを広げていく。やがて衣装を脱ぐと、異なる肌の色、顔立ち、身体があらわになる。3人は異なる国で生まれ、ダンサーになり、世界を移動し、出会い、踊り、他者に自らを委ね、互いを理解してきた。

 全員が優れた踊り手だが、あえて技巧を誇示せず、安易なダンスも排し、観客の気配に反応して、研ぎ澄ました身体感覚で自らの存在を空間に刻みつけていく。繊細で抽象的な身ぶりは、注視する観客の感覚を共震させ、記憶の古層を揺り動かす。すると観客ははるかな時を経ていま、ここでダンスを共有する不思議に思い至り、共感の絆が偶然に居合わせた他人同士を結んでいく。赤い糸は運命や血脈の象徴なのだ。

 振り付け・演出・出演の湯浅永麻は、仏語のenchaine(アンシェーヌ)(つながり)に日本語の「縁」と「鎖」をみたて、有限な身体が出会い、踊りというつかの間の行為が永遠の美を創造する舞踊芸術の神秘を描き出した。建築家の田根剛、デザイナー廣川玉枝の仕事も効果を生んだ。2日、港区の国際文化会館。(舞踊評論家 岡見さえ)

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