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【鑑賞眼】世田谷パブリックシアター「岸 リトラル」 自分探しから鎮魂の旅へ

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 内戦における苛烈な状況と人間関係を描いて高い評価を得た『炎 アンサンディ』に連なる作品だ。レバノン出身のワジディ・ムワワド作、上村聡史演出。

 カナダに住むウィルフリード(亀田佳明)はセックスの最中に、かねて疎遠だった父の訃報を電話で知らされる。ウィルフリードの誕生と引き換えに命を落とした母の親戚は、その墓に父を同葬することを断固拒絶する。主人公は埋葬場所を求め、遺骸を背負って内戦の傷痕生々しい父の故国へと向かう。

 主人公を撮影する映画監督や、助っ人役の騎士(共に大谷亮介)を登場させて虚実の境を取り払い、中東行きには死者であるはずの父(岡本健一)が同道する。さらに歌う女(中嶋朋子)の導きで旅は続き、「オイディプス」「ハムレット」「白痴(ムイシュキン)」を思わせる道化じみた象徴的人物3人と出会う。

 この後半は抽象性が高く、事件らしい事件が何も起きないこともあって、やや長く感じられる。しかしその先、電話帳を運び、戦死者の名を愚直に記録する女(栗田桃子)と出会うことで主題が明瞭になる。

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