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【シネマプレビュー】
「ウィッチ」
17世紀の米・ニューイングランド。頑迷さゆえに町を追われたウィリアム(ラルフ・アイネソン)と妻、そして5人の子供は森のそばの荒れ地で暮らし始める。ある日、赤ん坊のサムが行方不明となりウィリアムらは娘のトマシン(アニヤ・テイラー=ジョイ)が魔女になったのではないかと疑い始め…。
新人、ロバート・エガース監督が、サンダンス映画祭で監督賞を受賞したホラー作品。
ろうそくの明かりだけに照らされた一家の食卓など、自然光を最大限に生かした、暗く絵画的な映像が素晴らしい。エガース監督は、厳格なキリスト教一家が狂気にむしばまれていく様子を丹念に描き出す。派手なホラーシーンはないが、トマシンを「魔女だ」と言いつのる双子、家畜のヤギのうつろな目、陰鬱な森の描写など、作品全体が不穏なサインに満ちあふれており、胸のざわつきが止まらない。場面によって美しくも、ひどく不気味にも見えるテイラー=ジョイの特異な存在感が圧倒的で目が離せない。22日から、東京・新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。1時間33分。(耕)
★★★★(★5傑作 ★4見応え十分 ★3楽しめる ★2惜しい ★1がっかり ☆は半分)