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【花形出番です】日本舞踊市川流・市川ぼたん(37)(3) 忘れられない父との踊り 

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【花形出番です】
日本舞踊市川流・市川ぼたん(37)(3) 忘れられない父との踊り 

 大学の同級生が就職活動を始めた時期、市川流宗家でもあった父(十二代目團十郎)に、「腰を据え、踊りをやりたい」と進路希望を伝えました。父は「ああ、そうですか。頑張りなさい」と一言。それから叔母(現市川流総代の市川紅梅)に付き、舞踊家として勉強を始めました。

 平成18年8月、国立劇場(東京都千代田区)の「市川流舞踊会」で、三代目市川ぼたんを襲名しました。この名跡は、明治後期から昭和初期にかけ、演劇改革運動を牽引(けんいん)した二代目市川左團次(1880~1940年)の幼名です。自分で史料を調べるうち、由緒あるこの名を名乗りたい、と思ったんです。

 襲名披露では、市川家の芸である新歌舞伎十八番から、「鏡獅子」の弥生と獅子の精を初役で踊りました。父に習いましたが、最初のお稽古は「出」だけで2時間。江戸城内を舞台に、女中2人に手を引かれ、お小姓の弥生として出る場面ですが、父に「違う!」「違う!」と何度も止められました。

 「“出”で弥生の雰囲気が決まる。そこが伝わらないと」。若い時は体の使い方の基本を徹底的に身につけ、応用編としてそこからいかに自由になるか-。父は踊りを通して人として何を大事にすべきか、それも含め私に伝えようとしていたと思います。

 襲名前、父は病気再発で治療を受けていました。その父と襲名で「京人形」を一緒に踊れたのは、忘れられない思い出です。(談)

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