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【鑑賞眼】シス・カンパニー「令嬢ジュリー/死の舞踏」 色あせないストリンドベリ

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【鑑賞眼】
シス・カンパニー「令嬢ジュリー/死の舞踏」 色あせないストリンドベリ

格闘技のような会話劇が繰り広げられる「死の舞踏」。(左から)神野三鈴、音尾琢真、池田成志(加藤孝撮影) 格闘技のような会話劇が繰り広げられる「死の舞踏」。(左から)神野三鈴、音尾琢真、池田成志(加藤孝撮影)

 近代演劇の先駆者、スウェーデンの劇作家、ストリンドベリの代表作2本の昼夜交互上演。若い男女の官能的欲望と葛藤が悲劇を呼ぶ「令嬢ジュリー」と、熟年男女の愛憎に満ちた応酬をシニカルに描く「死の舞踏」。シアターコクーン内に小劇場空間を2つ特設した対比形式で、愛欲と愛憎に翻弄される人間の苦悩が万華鏡のように映し出される。小川絵梨子演出。

 「令嬢ジュリー」は伯爵令嬢(小野ゆり子)と下男、ジャン(城田優)、その婚約者の料理人、クリスティン(伊勢佳世)が登場。恋愛による男女間の力関係の変化を写実主義的に描きながら、時代とともに変容する女性の意識や性差別の問題もあぶり出す。百年以上前の作品だが、現代の男女のやり取りを見るようだ。

 ストリンドベリ後期を代表する「死の舞踏」は、格闘技さながらのすさまじい会話劇。離島で退役間近の砲兵隊大尉、エドガー(池田成志)と年下で元女優のアリス(神野三鈴)夫婦が2人で暮らしている。傲慢で辛辣(しんらつ)な性格は似た者同士、銀婚式を控えても口論が絶えない。そこに検疫所長として赴任したアリスのいとこ、クルト(音尾琢真)が、日々罵(ののし)り合いながら心のバランスを保つ夫婦の格好の餌食となる。剛直な池田、微笑に不敵な精神を宿す神野らが作るダークで壮絶な世界は、まがまがしいエネルギーが充満し刺激的だ。

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