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【人間国宝】「脇役のおかげで人間国宝になれた」 歌舞伎俳優 中村東蔵(なかむら・とうぞう)さん(78)

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【人間国宝】
「脇役のおかげで人間国宝になれた」 歌舞伎俳優 中村東蔵(なかむら・とうぞう)さん(78)

中村東蔵さん(文化庁提供) 中村東蔵さん(文化庁提供)

 「認定はうれしかった。亡くなった師匠である六代目(中村)歌右衛門に報告しましたが、喜ばれる半面、『お前さんが文化財?』と笑われそうです」

 立役も女形も演じられる芸域の広さで歌舞伎の舞台に厚みを加える脇役。父は医師、姉は亡き女優の藤間紫という家庭に生まれ、かつて藤間城太郎の名で映像の世界で活躍した。だが、23歳で昭和の名女形、中村歌右衛門の芸養子となり、歌舞伎界に飛び込む。

 「ただただ芝居が好き。好きなことがやれるのがうれしい、と思う毎日を過ごすうち、いつの間にか歌舞伎役者になっていた」

 かつては歌舞伎の血筋でないことにコンプレックスも抱いた。本音を打ち明ければ、やりたかったのはやはり主役。「でも、そうではない脇役ばかりきて、芝居が好きだから食らいつくうち、脇役になっていた」。だが、流れに身を任せるのも悪くなかった。「脇役のおかげで人間国宝になれた」と、率直に語る。

 「女形は不得手」と謙遜するが、最も重い役の一つ、「盛綱陣屋」の微(み)妙(みょう)ほか老女役の評価は高い。見かけ以上に体力を使うという女形を演じるため、ラジオ体操を日課にしている。

(飯塚友子)

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