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【鑑賞眼】変わらぬ喜怒哀楽に共感 国立劇場歌舞伎鑑賞教室「魚屋宗五郎」

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【鑑賞眼】
変わらぬ喜怒哀楽に共感 国立劇場歌舞伎鑑賞教室「魚屋宗五郎」

 今秋、開場50周年を迎える国立劇場。夏恒例の歌舞伎鑑賞教室だ。今回は、河竹黙阿弥作「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)」。「魚屋宗五郎」の通称で知られる世話物(江戸時代の日常劇)で、酒乱を恥じ、酒断ちしている宗五郎が、乞(こ)われて奉公に出た妹の死の真相を聞き、酒乱に逆戻りする話。歴史上の人物が誇張、脚色されて登場する時代物と違って、人間同士の喜怒哀楽が現代人と変わらず、ストレートに描かれるところに新たな歌舞伎の一面が見え、中高校生には分かりやすく、親しみやすい鑑賞作品といえる。

 注目点が3つある。まず、妹の死が殿さまのお手討ちだったと知り、憤慨する家族を、先方にも武家の道理があったのだろうと諭す禁酒中の宗五郎(中村橋之助)の理路整然さ。きまじめ一色だが、この場の橋之助は騒ぎ立てる周囲の慨嘆(がいたん)を愁い、顔に集約させて見せる。

 2つ目は、実は奸臣(かんしん)の讒言(ざんげん)による無実の罪だったと知って、飲み始めた酒が度を超し、酩酊(めいてい)して殿さまの屋敷に暴れ込む宗五郎のさま。止める女房、おはま(中村梅枝(ばいし))を蹴散らし、酒乱の本領を発揮する場は、周囲との息が今一歩で弾まない。梅枝は勢いある魚屋の女将(おかみ)をうまく出している。

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