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【鑑賞眼】3部制、三者三様で奏功 歌舞伎座「六月大歌舞伎」

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【鑑賞眼】
3部制、三者三様で奏功 歌舞伎座「六月大歌舞伎」

 「義経千本桜」を3部制で上演。各部で登場人物を際立たせ、功を奏した。

 第1部は碇知盛(いかりとももり)で、「渡海屋(とかいや)・大物浦(だいもつのうら)」。市川染五郎が初挑戦、あたりを掃(はら)う気品で演じる。渡海屋銀平の花道の出、相模五郎(市川右近)らの横暴を一捻(ひとひね)りする場も豪胆より洗練された風姿で圧倒する。実は新中納言知盛となって怒髪天を衝(つ)くさまもダイナミズムより矜持(きょうじ)を失った寂寥(せきばく)感が色濃い。そこに染五郎の個性が横溢(おういつ)する。右近の長男(武田タケル)が安徳帝で初お目見え。市川猿之助(えんのすけ)が銀平女房お柳実は典侍(すけ)の局(つぼね)。舞踊「時鳥花有里(ほととぎすはなあるさと)」が付く。

 第2部はいがみの権太。本作中の異色な世話場。松本幸四郎が16年ぶりの権太で格の違いを見せる。「木の実・小金吾(こきんご)討死」では、上手から現れた瞬間にひと癖ある人物像が香り立つ。小金吾の尾上松也がすがすがしく絡むが権太のアクにのみ込まれる。若手の通過点だ。続く大立廻(まわ)りで松也は面目。「すし屋」になって、母親おくら(市川右之助=好演)から金を巻き上げる口八丁の所作の熟れ具合が、モドリで見せる悔恨の長口舌(ながこうぜつ)で大歌舞伎となる。

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