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【話の肖像画】歌手・加藤登紀子(5)命が終わっても歌は消えない

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【話の肖像画】
歌手・加藤登紀子(5)命が終わっても歌は消えない

歌手・加藤登紀子(伴龍二撮影) 歌手・加藤登紀子(伴龍二撮影)

 〈登紀子さんの歌には「強いメッセージがある」と言われてきた〉

 昭和43(1968)年の東大卒業式ボイコット闘争で、ジーパン姿で座り込みに加わったときに、加藤登紀子であることから逃れられなくなったと思う。もう一つの転機は(獄中)結婚かな。これはもう、どうしようもない(苦笑)。私の“ボディーガード”を自任する永六輔さんは、芸人というのは元来、お客さんあってのものだから、旗幟(きし)鮮明にしないほうがトク、その範囲で自分を発揮すればいいのであって、あまり生身で動いたりするのは心配だなんて、よく忠告してくれました。

 ただね、私はあくまでも歌手なんですよ。運動家じゃありません。愛すること、語りつぐこと、旅すること、抱きしめること…詞を語る、ストーリーを歌うことは全てがメッセージですよね。自由に表現できることを大事にしたいんです。歌や歌詞なら、ひとりでできるし、誰かに気を使ってしゃべらなくていいでしょ。

 初めから答えが決まっているような、つまり、つじつま合わせのような「政治的なプロパガンダ」は本当のメッセージじゃない。だいたい、政治の力だけで世の中を変えるなんて、おこがましいと思いませんか? むしろ2つに分断されている人たちをつなげたいと思います。どんな人たちとも一緒に音楽を楽しみたいし、プロの歌手として、あらゆる人たちの心の中に届くような表現の形を持っていなくちゃならない。そう考えています。

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