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【鑑賞眼】草笛光子と串田和美のベテラン同士の語らいがしみじみとおかしい 地人会新社「海の風景」

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【鑑賞眼】
草笛光子と串田和美のベテラン同士の語らいがしみじみとおかしい 地人会新社「海の風景」

串田和美(左)と草笛光子が定年後の夫婦を演じる 串田和美(左)と草笛光子が定年後の夫婦を演じる

 そこに、レスリー(池田鉄洋)とサラ(小島聖)というトカゲの若い夫婦が出現し、互いに警戒感を露(あら)わにしながら2組の夫婦の奇妙な対話が繰り広げられる。老夫婦は愛とは何かを説明しようと悪戦苦闘する。男と女のすれ違い、異質な他者と遭遇する恐怖、生命進化の歴史と環境を破壊する現代文明、上空をかすめる飛行機の轟音(ごうおん)に予感する戦争の足音。それらが、ない交ぜとなってわれわれの日常生活がいかに未知で不安定な状況で営まれているか、という怖さがじわっと伝わる。初演から41年目の今も作品のテーマは現実的だ。

 2組の夫婦は摩擦を起こしながら、互いに理解しようとする態度を最低限堅持する。そこから危機に直面する勇気が生まれてくるのだ。鳴海四郎翻訳で串田と木内宏昌の共同演出。10日まで、東京・三軒茶屋のシアタートラム。14~17日、横浜の神奈川芸術劇場。(演劇評論家 河野孝)

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