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【鑑賞眼】赤堀版「三丁目の夕日」の懐かしさ 世田谷パブリックシアター「同じ夢」

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【鑑賞眼】
赤堀版「三丁目の夕日」の懐かしさ 世田谷パブリックシアター「同じ夢」

うらぶれた精肉店に集う中年男を演じる(左から)光石研、大森南朋、田中哲司、赤堀雅秋(細野晋司撮影) うらぶれた精肉店に集う中年男を演じる(左から)光石研、大森南朋、田中哲司、赤堀雅秋(細野晋司撮影)

 日常生活の中に埋もれる微細な「ざらつき」を掘り起こし、濃密な人間ドラマとして増幅してみせる。劇団「THE SHAMPOO HAT」を主宰する赤堀雅秋の作・演出・出演舞台「同じ夢」は、どこかひねくれているが、愛すべき等身大の人物たちが主人公だ。

 自衛隊基地が近い東京近郊の築40年ほどの一軒家。精肉店を営む松田昭雄(光石研)は2代目で、奥の部屋に寝たきりの先代の父と昭雄の娘、靖子(木下あかり)の3人が住む。従業員の稲葉(赤堀)や昭雄の飲み仲間、佐野(田中哲司)が出入りし、ヘルパーの高橋美奈代(麻生久美子)が先代の介護に通ってくる。

 真冬のある日、佐野と稲葉のほか、10年前に交通事故で死んだ昭雄の妻の加害者である田所(大森南朋(なお))が命日なので訪れている。

 「昼飯、何食った?」「忘れた」とたわいのない会話をしているようで、深層では本人も気づかない違った意識が流れている。そんな微妙なずれを赤堀の作劇は、ユーモラスに浮き彫りにして秀逸。人間は突然、何をしでかすか分からない心の闇を持っているという人間観があるのだろう。

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