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【鑑賞眼】新春浅草歌舞伎 美しく愛らしい米吉のお富

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【鑑賞眼】
新春浅草歌舞伎 美しく愛らしい米吉のお富

 昭和55年の復活以来、34回目を数える「新春浅草歌舞伎」。今年は中村錦之助を上置きに、尾上(おのえ)松也の昭和60年生まれを除くと、主要キャスト全員が平成生まれという布陣だ。

 第1部は、「三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)」の大川端(おおかわばた)庚申塚の場から。お嬢の中村隼人は女と男の切り替えに惑ったまま「月も朧(おぼろ)に…」へ至るので声が上ずる。お坊の坂東巳之助(みのすけ)も声がとぶ。河竹黙阿弥の七五調に全神経をとがらせるから身心が硬くなる。錦之助が和尚でまとめる。

 次に、不破伴左衛門(ばんざえもん)(巳之助)と名古屋山三(さんざ)(中村国生)の傾城采女(けいせいうねめ)(坂東新悟)をめぐる恋の達引き舞踊「土佐絵」があり、「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」。色気不足もこれほど美しく愛らしい「源氏店(げんじだな)」は初めて見た。中村米吉は万端にお富の研究成果を見せるが、顔立ち、所作が修羅の過去を感じさせない清潔さで、まだお富ちゃんである。彼女と気づいて、「イヤサ、お富」と始まる与三郎の名場面も松也、明晰(めいせき)な発声ながら台詞(せりふ)に艶(つや)がない。愛を確かめ合う2人立ちの幕切れはきれいだ。錦之助が和泉屋多左衛門。

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