産経ニュース

【鑑賞眼】歌舞伎座「壽初春大歌舞伎」 ほれぼれする吉右衛門の梶原

エンタメ エンタメ

記事詳細

更新

【鑑賞眼】
歌舞伎座「壽初春大歌舞伎」 ほれぼれする吉右衛門の梶原

 なじみ役を適(かな)う俳優が演じる。見た目も心地良い演目が並んだ初芝居である。

 昼。「梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)」の中村吉右衛門(きちえもん)の梶原平三がほれぼれする。名刀の価値をめぐり、“二つ胴”から手水鉢(ちょうずばち)を斬(き)る“石切梶原”へ至る緊張を肚(はら)に終始、柔和な表情を崩さぬさまに源平相克の時を生きる胆力と慈愛が宿る。畢生(ひっせい)の当たり役だ。膝(ひざ)に立てた扇子の扱いに、刀の売り主・六郎太夫(中村歌六(かろく))への配慮がのぞく。「あっぱれ」と叫ぶ独特の含み台詞(ぜりふ)に名刀の斬れ味が見える。太夫の娘・梢の中村芝雀(しばじゃく)が可憐(かれん)と哀れを表出、大庭三郎の中村又五郎が立派、中村歌昇(かしょう)がその弟・俣野五郎でほど良い憎まれ役。俳優たちの器量が客席を弾ませる。

 初めに正月らしい長唄舞踊「廓三番叟(くるわさんばそう)」から出て、中村橋之助の狐忠信で「義経千本桜」から“鳥居前”。最後に、坂東玉三郎が真柴実は茨木童子を絶妙の変化舞踊で踊る「茨木」。尾上松緑(おのえ・しょうろく)が渡辺綱。

「エンタメ」のランキング