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【花形出番です】歌舞伎俳優・坂東巳之助さん(2)新作で表れる自身の力量

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【花形出番です】
歌舞伎俳優・坂東巳之助さん(2)新作で表れる自身の力量

歌舞伎俳優・坂東巳之助さん(26)(寺河内美奈撮影)

 僕は、自分を格好良いと思ったことがありません。恥を捨てないとできない役は何のためらいもなくできますが、むしろ二枚目を演じる方が恥ずかしい。

 例えば、昨年1月、新春浅草歌舞伎の『上州土産百両首』。ドジで間抜けな牙次郎(がじろう)役は、自分を格好良く見せたいと思ったりしたらできない。恥を捨て、全力でなりきるしかない。僕の場合、初めから捨てるほどの恥すら持ち合わせていないんです。

 歌舞伎界に同世代は多いですが、みんな真っすぐでまじめ。尊敬していますし、すごいと思うことも多々ある。だけど、僕のようなひねくれたやつが1人いてもいいかな、と思うところもあります。

 10、11月とスーパー歌舞伎II(セカンド)「ワンピース」で、ロロノア・ゾロ、ボン・クレー、スクアードの3役を勤めました。こうした新作は、抜き打ちテストを受ける気持ちです。普段の歌舞伎で、それぞれの役をどれだけ自分の引き出しにしまえているか。「自由にしていい」という稽古場で、自分の引き出しをいかにスッと開けられるか。日々、漫然と過ごしていないか、如実に自分の結果として表れます。

 「並んで」と指示されたら、どの程度の間隔で、どう立つか。単純なことが計算し尽くされているのが古典歌舞伎です。あの芝居ではこうだった、となれば自然にそこに動く。その“引き出し”がなければ、身動き一つ取れません。

 新作であっても古典の修業がものを言い、古典のための糧になります。(談)

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