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【父の教え】歌手・天童よしみさん 教えられた歌の「愛」

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【父の教え】
歌手・天童よしみさん 教えられた歌の「愛」

20歳ごろの天童よしみさん(右)と父、吉田義行さん=大阪府八尾市の自宅前(天童よしみさん提供)

 仕事がなく、行き詰まっていた20歳のころ、「大阪に帰ってこい」と言ってくれたのも義行さんだった。「大阪に仕事なんかない」と強く反発するよしみさんを「時期を待て。充電せえ」と帰ってくるよう説得した。「親の愛を感じなくなると人は心の底から歌えない。すさんだ歌を歌うよしみを見たくない。人に愛を与える最高の歌を聞かせてくれ」と訴えた。

 大阪に戻ったことで、浪速っ子の負けじ魂を歌った大ヒット曲「道頓堀人情」と出合い、転機となった。

 平成20年3月7日。大阪・新歌舞伎座でよしみさんが座長公演をしていた最中、義行さんは大腸がんで亡くなった。よしみさんは千秋楽まで公表を控え、涙をこらえながら舞台を務めた。「ちょうど出棺の時間が、私の出番の時間と一緒だった。お客さんの大声援を浴びながら、お父ちゃんと一緒に花道に出ていくようなすごい感覚だった」

 「人に愛を与えよ」と教えた義行さん。新歌舞伎座で12月、よしみさんは歌謡劇「マッチ売りの少女」を演じる。「悲劇の少女」ではなく、「幸せや夢を与える少女」をイメージしてこの題材を選んだという。出会う人々の温かさや、マッチをするたびに輝いていく世界を描き、観客を幸せな気分にするステージを目指している。「今も父が死んだと思っていない。一緒にいる気がするんです」(池田美緒)

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 ≪メッセージ≫

 もっとたくさん一緒に旅行したかったよ。利尻島や礼文島の景色をまた見せてあげたかった

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【プロフィル】吉田義行

 よしだ・よしゆき 昭和4年、和歌山県田辺市生まれ。同県内のバス会社に勤めた後、大阪市内や大阪府八尾市内のタクシー会社に勤務。60年、天童事務所社長、平成12年、会長に。地元のロータリークラブの役員として防犯ボランティアなどの活動にも力を入れた。20年、大腸がんのため78歳で死去。

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【プロフィル】天童よしみ

 てんどう・よしみ 本名・吉田芳美(よしだ・よしみ)。和歌山県田辺市生まれ。昭和47年、「風が吹く」でデビュー。代表曲に「道頓堀人情」「珍島物語」など多数。ドラマやCMでも活躍する。今年2月には「いのちの春」「いのちの人」を同時発売した。

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