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【話の肖像画】声優・清水マリ(3)出産降板で「声違う」と局に殺到

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【話の肖像画】
声優・清水マリ(3)出産降板で「声違う」と局に殺到

虫プロの庭でくつろぐ手塚治虫(右)と=昭和38年、東京都練馬区

 〈出産後、劇団新人会を退団。声優として子育てと仕事の両立に奔走する〉

 「芝居ができなくなるなら子供なんてほしくない」と思っていたのに、生まれると「この子を置いて旅公演になんか参加できない」と、舞台への執着が消えてしまいました。新人会で一緒だった大山のぶ代さんの紹介で、子育てしながら声の仕事をする女性が集まった高松事務所に入れてもらい、そこには小原乃梨子さん、増山江威子さんたちがいました。今のように保育所がある時代ではなかったので、仕事のギャラより家政婦さんに払うお金の方が高くなったり、「何のためにこんな思いをして働いているのか」と思ったりすることもありました。事務所の仲間とベビーベッドや子供服のお古の交換もして、みんな何とか頑張っていたんです。

 〈アトムは4年で放送を終了。その後に出演した「妖怪人間ベム」(昭和43年)のベロ役も、清水さんの代表作の一つだ〉

 アトムの声は普段話している声と一緒で苦労しませんでしたが、ベロは苦労しました。「アトムにならないように」が条件で、こっちも正義の味方ですけれど、地面の下ではっているような子供ですから暗いイメージを出さなきゃいけない。声の高い金属的な部分を消しています。私にとってアトムから脱皮するための試金石となった作品で、皆さんの記憶に残っているのはありがたいことだと思っています。(聞き手 鵜野光博)

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