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【話の肖像画】声優・清水マリ(2)「ミテレコ」に悪戦苦闘

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【話の肖像画】
声優・清水マリ(2)「ミテレコ」に悪戦苦闘

声優・清水マリ(寺河内美奈撮影)

 〈製作スケジュールが厳しくなってからは、収録に作画が間に合わなくなり、線画(人物の代わりに線が映っている)が使われた〉

 最初の頃はなかったんですが、だんだん押し迫ってきたら「すみませんけど茶色の線はアトムですから、この間でしゃべってください」とか、「赤い線はお茶の水博士ですから」とか言われて(笑)。

 一番苦労したのは、線画になると相手がどこにいるか分からないんですよ。別れのシーンで「さよなら」と言うときに、相手が隣にいるのか、少し離れているのか、うんと遠くにいるのかで言い方も全部違うじゃないですか。それが分からない。すぐそばにいる人にアトムが大声で「さよならー」と言っちゃったり、そんなことがままありました。アニメの製作現場の厳しさは、今も変わっていませんね。

 〈鉄腕アトムはお茶の間で大人気となり、お菓子などの関連商品は売れに売れ、視聴率は40%を超えるようになる〉

 それでも声優になったつもりはさらさらなく、新劇女優として旅回りの公演にも参加していました。録音の技術が発達して「抜き録(ど)り」という部分録音ができるようになると、フジテレビのディレクターがデンスケ(録音機)を抱えて大阪まで来て、アトムの声を入れたりしました。今のように声優がタレントになるなんて想像もつかない時代でしたね。(聞き手 鵜野光博)

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