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【話の肖像画】声優・清水マリ(2)「ミテレコ」に悪戦苦闘

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【話の肖像画】
声優・清水マリ(2)「ミテレコ」に悪戦苦闘

声優・清水マリ(寺河内美奈撮影)

 〈国産初の長編テレビアニメーションシリーズ「鉄腕アトム」は昭和38年元日、フジテレビで放送が始まった〉

 初めて経験するアニメの声の収録は大変でした。外国映画の吹き替えでは、ヘッドホンから聞こえてくる俳優の声に合わせて日本語のせりふをしゃべり、口が閉じる頃にきっちりとしゃべり終わらせるんです。

 ところが、アニメだとヘッドホンがない。それに、場面が替わった瞬間にバッと口が開くんですよ。外国映画だと、その人がしゃべる前につばを飲み込むとか、息を吸い込むとか、何かしらリアクションがあるんです。絵だとそれがないし、アトムはつばを飲んだりしない(笑)。いきなり大きな口を開けてしゃべる場面では、場面が替わる寸前に息を吸っていないと間に合わない。絵をひたすら見て声を合わせなければいけないので、外国映画の吹き替えは「アテレコ」、アニメのそれは「ミテレコ」と呼んでいました。

 〈放送初期は録音テープ側の問題で、収録を小分けにすることもできなかった〉

 1話は24分ほどですが、テープにはさみを入れると音が悪くなるため、前半と後半に分けて12分程度を一気に録音していました。誰かが失敗すると、「あ、ごめんなさい」とはじめからやり直し。後の方に自分の長ぜりふがあったりすると、緊張で足が震えました。

 1話分の収録に8時間ぐらいかかって、終わった後は全員くたくた。みんなで飲みに行く元気もありませんでした。それでも外国映画の初期の頃は放送と同時に声を入れていたので、アトムはやり直しがきく録音ができただけでもよかった方でした。

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