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【鑑賞眼】女形を体験 女子学生は大喝采 国立劇場歌舞伎鑑賞教室「壺坂霊験記」

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【鑑賞眼】
女形を体験 女子学生は大喝采 国立劇場歌舞伎鑑賞教室「壺坂霊験記」

 恒例の歌舞伎鑑賞教室。中高生中心だが、夜には社会人や外国人向けの公演も用意され、伝統芸能活性化に果たす役割は大きい。

 作品上演の前に付く解説「歌舞伎のみかた」で毎年、俳優たちの工夫による歌舞伎の魅力が紹介される。今回は、坂東亀寿(かめとし)が舞台機構や独特の効果音などを説明した後、舞台上で、俳優が化粧で女形に変身する過程を若手俳優が実演してみせた。さらに、選ばれた男子高校生2人が俳優と一緒に女形のしぐさ、歩き方を体験、女子学生から大喝采(かっさい)を浴びた。歌舞伎への興味につながることを期待する。

 87回目となる6月の作品は「壺坂霊験記(つぼさかれいげんき)」。盲目の座頭、沢市(坂東亀三郎)と女房のお里(片岡孝太郎(たかたろう))は眼病治癒祈願で壺坂寺にすがる日々だが、沢市はお里の未来を悲観して谷底へ身を投げる。それを知ったお里も…。人形浄瑠璃から歌舞伎に。また、浪曲、映画へと人気となった。

 「妻は夫を労(いたわ)りつ 夫は妻を慕いつつ」のフレーズが旧世代ならすぐ口を突き、夫婦愛の極致を感じるが、幕切れに観世音が出現して奇跡が起こる場を若い世代はどう感じるだろう。

 初役の2人。明快過ぎる役どころに苦労した。孝太郎は鄙(ひな)(田舎)にはまれな華を純朴に重ね、うまく出るが、竹本の台詞(せりふ)に負ける。亀三郎は盲目の所作に細心さが欲しい。手本をなぞるあまり、2人に哀れの感が薄い。ラストの笑顔は好感を抱かせるも、前半のつらさが深ければのものだろう。24日まで、東京・隼町の国立劇場。(劇評家 石井啓夫)

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