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【花形出番です】おじさんの一喝に目が覚めた 歌舞伎俳優・中村歌昇さん(25)(1)

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【花形出番です】
おじさんの一喝に目が覚めた 歌舞伎俳優・中村歌昇さん(25)(1)

(寺河内美奈撮影)

 平成6年、5歳のときに歌舞伎座(東京・銀座)で初舞台を踏みました。でも、歌舞伎俳優として真の出発点になったのは17年9月、歌舞伎座で片岡八郎(源義経の従者の一人)を演じた舞台だと思っています。

 中学の3年間は歌舞伎から全く離れ、部活動のバレーボールに打ち込んだ僕が、大人のお役を初めて1カ月、させていただいた舞台でした。

 ところが、中日過ぎくらいに、花道で台詞(せりふ)を完全に忘れてしまった。すぐに思いだしたものの、空白の時間をつくってしまいました。終演後、弁慶をお勤めになっていた播磨屋(はりまや)(中村吉右衛門)のおじさんが、楽屋中に響き渡るような大変なけんまくで、「ばか野郎! お前なんか、役者、やめちまえ」とおっしゃった。

 そのときは号泣し、本当にやめようと思いました。「やる気がないから、舞台への集中力がないから、そうなるんだ」とのお言葉に目が覚めました。甘かった。プロとして舞台に立つということは、どういうことか。おじさんは本気で教えてくださったんです。

 父(中村又五郎)も歌舞伎俳優で、物心つかぬうちから踊りのお稽古に通い、子役時代も大きなお役をいただいていました。恵まれた環境にありながら、中学の3年間は空白期間で、ハンディがあると気づき、歌舞伎に真剣に取り組むきっかけになったんです。

 何よりおじさんの舞台を目の当たりにし、歌舞伎自体が好きになりました。ショック療法でしたが、おかげで現在の僕があると思っています。(談)

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