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世界公共放送研究者会議 RIPE、日本で初開催

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世界公共放送研究者会議 RIPE、日本で初開催

「RIPE@2014」の初日には、NHKが東日本大震災を受けた災害報道の取り組みを報告した =8月27日、東京都千代田区

 ■災害報道「道しるべ」化を模索

 世界の公共放送の課題を研究者らが議論する「RIPE(ライプ)@2014(世界公共放送研究者会議)」が8月27~29日、東京都内で開かれた。日本では初開催で、NHKと慶応大が進行役を担当。27日に千代田放送会館(千代田区)で開かれたシンポジウムではNHKの災害報道に注目が集まり、各国にまたがる公共放送の課題も浮かび上がった。

 RIPEはフィンランド・タンペラ大のグレッグ・F・ロー教授の呼びかけで2002年にスタート。以来隔年で開かれ、7回目となる今大会は「公共放送と越境化する社会」をテーマに世界25の国と地域から多数の研究者や放送局関係者らが参加した。

 初日のシンポジウムではNHKの井上樹彦理事が基調講演し、国際化やインターネットを含む多メディア化によって「個々人が社会と関わる公共圏が断片化し、多極化が進んでいる」と社会構造の変化を指摘。対応策としてネットサービス充実や社会問題の争点を提示する機能強化を挙げ、「紅白歌合戦のように世代を超えた関心を呼ぶ大型コンテンツの開発を進めることも大切だ」と述べた。

 この日は3セッションに分かれて世界の公共・国営放送の現状についても情報交換。欧州放送連合(EBU)は公共放送をめぐる国際的な課題共有の重要性を訴え、08年に放送を始めたタイの公共放送「タイPBS」は、5月の軍クーデターで放送停止を余儀なくされたが、その後も軍に気付かれるまで番組をネット配信したと報告。民主化の進むミャンマーやインドネシアなどでは、国営ではない公共メディアの活動が活発化する一方、財源確保の難しさも課題に挙げられた。

 災害報道に焦点を当てたセッションでは、NHKが東日本大震災を受けた取り組みを説明。避難者の行動記録などの「ビッグデータ」による調査報道を報告し、最新CGを使った空撮再現映像を近く導入する方針も示した。来場者からはビッグデータ活用システムの内容や費用などに質問が相次いでいた。

 EBUのハンス・ラローズ氏は「公共放送はただ素材を提供するだけでなく、避難者情報を視聴者と共有する仕組みを作るなど“道しるべ”になるべきだ。信頼を得るためには透明性が重要で、ミスは認めて直すことも必要だ」と話した。

 NHKは10月、国際放送「NHKワールドTV」でRIPEでの議論を詳報する予定。(三品貴志)

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