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【鑑賞眼】息のむ13人の群舞 Co.山田うん「春の祭典」「結婚」 

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【鑑賞眼】
息のむ13人の群舞 Co.山田うん「春の祭典」「結婚」 

 ストラビンスキーのバレエ音楽「春の祭典」が2013年に初演から100年を迎え、記念企画が盛んだ。自由な身体言語、舞踊と音楽の知的な解釈で水際立つ振付家・ダンサー、山田うんは、原作の革命的性格を独自の方法で解釈し、衝撃的なダンスを創造した。

 山田はゲルギエフ指揮の音源、娘を選び生(い)け贄(にえ)にささげる原版の筋を用いるが、振り付けは説明的ではない。激しい音の粒立ちと身体は1つになり、複雑なリズムやうねる旋律のなかで切り結ぶカンパニー(Co.山田うん)13人のダンサーの群舞に息をのむ。力強い踊りの応酬があり、威圧的に上下に揺れる群れは突然ほどけ、不格好に逃げ惑うかと思えば、虫のごとく整列して空間を横切る。彼らの恐怖、自然に対する人間の弱さ、犠牲の上に成り立つ共同体の未来と希望。感情をかき乱す音楽は身体を得て実体として迫り、生け贄の娘が倒れすべてが暗闇に消えても、観客の心には共に原始の儀式を生きた高揚感が反響する。

 同時上演「結婚」もストラビンスキー作曲だが、音源はロシア民謡の歌唱法とコンピューター演奏。農村の結婚を社会制度・儀礼ととらえ抽象的な群像劇にしたバレエは男女のデュオとなり、花嫁と花婿の静謐なポーズ、虚空への跳躍、じゃれ合いやぎこちない接触には、親や2人の周囲の人々の存在も投影される。研ぎ澄ませた舞踊が、時空を超え普遍的な愛と葛藤を描き出した。11日、東京・青山のスパイラルホール。(舞踊評論家 岡見さえ)

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