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【シネマティックな人々】
よみがえれミニシアター文化 新宿・シネマカリテの挑戦
かつてのミニシアター文化を再び! もはや複合映画館と言い換える必要もないくらいシネコンが隆盛を極める一方、都心部を中心に若者文化を担っていたミニシアターが次々と姿を消している。そんな中、昨年12月に東京・新宿にオープンしたシネマカリテが、シネコンでは実現が困難な企画を打ち出して、新たな観客層を掘り起こそうと挑戦している。12月からは大手映画配給の20世紀フォックスと組んだ新規プロジェクトもスタートさせる。(藤井克郎)
「あそこの劇場は何かおもしろいことをやっているな、何か気になるな、という存在でありたいなと思っています」と、シネマカリテの番組編成を担当する武蔵野興業の執行役員、小畑勝範さん(48)は強調する。
新宿駅東口で老舗の映画館、新宿武蔵野館を運営する同社が、その目と鼻の先にシネマカリテをオープンさせたのは、昨年12月のことだ。カリテとはフランス語でクオリティーという意味で、96席と78席の2つの劇場を持ち、3スクリーンを有する新宿武蔵野館と合わせると5館体制になる。「果たしてそれだけの作品が取れるのか。やってみるまでも不安だったが、やってからも不安はある」と小畑さんは打ち明ける。
基本的には、新宿武蔵野館と同様、さまざまなジャンルの「何でもあり」の編成でまずは認知度を上げようと努めてきたが、ここに来て独自の新機軸を打ち出すようになった。