日本舞台芸術振興会「第15回世界バレエフェスティバル」 男性の表現力、ベテランの深み - 産経ニュース

日本舞台芸術振興会「第15回世界バレエフェスティバル」 男性の表現力、ベテランの深み

 昭和51年から続く、世界的スターを東京に集めた3年に1度のバレエの祭典。今年はA・Bプログラムとガラに約40人が出演。上演4時間を超える豪華さは世界でもまれだ。
 全体では、バランスの良い構成が光った。ボリショイはじめロシア勢が古典バレエで魅了し、パリ・オペラ座勢は振り付けに個性とエレガンスを香らせ、ドイツ勢は創意に富んだ現代作品を見せるなど多彩。団を越えた組み合わせもあり、古典・現代入り交じるバレエの今を堪能させた。
 また、バレエは“若い女性の踊り”との固定観念を覆す発見もあった。力強さと繊細さを兼ね備えた芸術的な男性ダンサーたちが存在感を発揮。なかでもイタリアのロベルト・ボッレは、静かな動きを重ねバロック絵画のような劇的造形を生み出す「カラヴァッジオ」(Aプロ)、初恋のみずみずしさが隅々からあふれる「ロミオとジュリエット」(Bプロ)、パリ・オペラ座のマチュー・ガニオと組んで同性愛の葛藤を繊細に描く耽美(たんび)的な「プルースト」と、多様化が進む男性の舞踊表現の可能性を提示した。
 年齢を超越したダンサーの美しさも。イタリアのアレッサンドラ・フェリは、55歳と思えぬライン、強い技術を保ちつつ、表現力で圧倒。「オネーギン」(Bプロ)では初恋の男性に再会し苦悩する人妻を踊り、理性と情熱の相克の叫びを激しい振り付けに重ね、若さでは太刀打ちできない芸の深淵(しんえん)を見せた。8月1~15日、台東区の東京文化会館。(舞踊評論家 岡見さえ)